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婚約者に溺愛されている

作者: 雷ライ

勢いだけで書いているため誤字脱字がある可能性があります。


なんでも許せる方のみお読み下さい。





突然だが、私は婚約者に溺愛されている。




まずは私の自己紹介からしよう。


私はヘルデルド王国第二王子で王太子のイーサン・ウェル・ヘルデルドだ。


まぁ、第二王子だが王太子だ。


理由は兄である第一王子が王位継承権を放棄して行方不明になっているからだ。


あまり気にしなくていい。


そんな私には同い年の婚約者がいる。


彼女の名前はフェリシア・レートン。


レートン侯爵家のご令嬢だ。


ウェーブのかかった美しい淡い金髪に晴天の青空を写したような青い瞳を持つ。


そんな彼女だが、今、私の目の前で見知らぬ女にからまれている。





「フェリ様いい加減にイーサン様を解放してください!」


見知らぬ女が大声を出す。うるさい。


「……?何から解放するのですの?」


本当にな、何かに私は捕まっていたのだろうか?


「フェリ様なんかイーサン様の婚約者に相応しくありません!」


この女たしか田舎の男爵令嬢だよな?


なんで我が国の《四侯》の一角レートン侯爵家の令嬢に喧嘩売ってるんだ?愚かだな。


フェリシアは扇を取り出し口元を隠している。


「それは貴方が決めることではないのではなくて?」


イライラしているなフェリシア、一切表情に出ていないが。


「フェリ様みたいな悪人なんかイーサン様に相応しいわけありません!」


こいつ話聞いているのか?


進まないぞ。


そして今ので本当にレートン侯爵家を敵にまわしたな。


「では誰なら相応しいのですか?」


飽きたなフェリシア。


さっきのイライラした雰囲気はもう消えている。


「私ならイーサン様を確実に幸せにできます!」


誰も頼んでないよ?


ていうか本当にお前誰?


「この最も王妃に相応しいと言われる私以上に?」


芝居かかった仕草でフェリシアが言う。


いるわけないと思う。


王妃教育をまあ泣き言は言うがしっかりとこなしているので、仕草も知識も何もかもが素晴らしい。


「フェリ様が幸せにできるのは国でしょう?!私はイーサン様の幸せについて言っているんです!」


いやもう一回言うけど頼んでないよ?


私は王太子だし国の幸せが最優先だよ?


「イーサン様は王太子ですよ?」


うん、王太子だよ。


「だからなんだって言うんですか!」


こいつ本当に貴族?


「まず、なんでイーサン様を敬称で呼ばないのですか?それに私、貴方に愛称で呼ぶことを許した記憶はございません」


それは私も気になっていた。


私のことをイーサン様と呼ぶのは家族以外の親しい人だけだ。


婚約者のフェリシアとか、側近たちとか護衛してくれてる専属騎士たちとかだ。


「そんなのフェリ様に言われたくありません!」


「だから愛称で呼ばないでくださる?」


本当に人の話聞いていないなこいつ。


「そんなことはどうでもいいんです!イーサン様を解放してください!」


どうでもよくはない。


許可も与えてないのに愛称で呼ぶのは非常識だ。


私のことも名前で呼ばないでほしい。


「イーサン様から私は相談されたんです!フェリシア様といると疲れると」


相談してないよ?疲れてないよ?


むしろフェリシアがいると安心できるぐらいだし。


「まぁっ、イーサン様がそんなことおっしゃたの?」


もうフェリシアの仕草が全部芝居かかってきている。


「私といると安心できると、私のそばにいたいと」


言ってない。


その虚言は王族侮辱になるよ?


「へぇ〜そうなんですか」


演技するのも辞めたな。


フェリシアは本来かなりの飽き性だからな。


「だからイーサン様を解放してください!」


「嫌です」


そりゃそうだ。


自分でこんなことを言うのもなんだが、私はフェリシアにかなり溺愛されている。


飽き性の彼女が私に幼少の頃から溺愛し続けてくれる。


嬉しいね。


「はあっ!?」


うるさいね。


なかなか話が進まないから観察してたけど周りに人が集まってきてるし、私を巻き込んだ虚言も吐かれたし男爵令嬢には退場してもらおう。


「フェリ」


私は最愛の婚約者の名前を呼びながら彼女の脇に立ち、腰に手を回す。


「イーサン」


フェリシアがこちらを見て疲れているがどこか安心したような表情を浮かべる。


「遅くなってごめんね」


ふるふると首を振るフェリシアはとてつもなく可愛い。


「行こうか」


私がそう言って先を促すと男爵令嬢が私の腕を掴み、大声を上げる。


「イーサン!なんでこんな女なんかに構うの!ヒロインは私なのよ!私を愛せば貴方は幸せになれるのよ!」


家族以外の女性に呼び捨てされるのは初めての経験だ。


こいつ、さっきも思ったけど本当に貴族?


なんで私の幸せ勝手に決めつけてるんだ?


可愛いフェリシアがすごい形相で男爵令嬢を睨んでいる。


フェリシアにこんな顔は似合わない。


こんな顔をさせているのが男爵令嬢だ思うと余計にイラつく。


「離せ」


冷たく一言。


「イヤです!」


嫌かどうかは聞いていない。


「離せと言っている、貴様の意見など聞いていない」


今日はフェリシアとランチを取る予定なのだこんな奴に時間を使いたくない。


「なんで?なんで?フェリシアなのよ?!このゲームのヒロインは私なのよ?フェリシアは悪役で、イーサンは私の夫になるのよ?そっか、フェリシアがしっかりと悪役の役割をこなさないからこうなったんだ。じゃあ、フェリシアがいなければイーサンは私のものだ!」


なんかブツブツ言ったと思ったらフェリシアに向かって拳を振り上げる。


フェリシアの怯えた顔が視界に入った瞬間、男爵令嬢への怒りが頂点に達した。


「ルカ!ノア!」


俺が名前呼ぶとすぐに専属騎士であるルカとノアが男爵令嬢を抑えつける。


「ただの虚言と侮辱から軽い罰だけにしてやろうと思っていたが、フェリシアを傷つけるなら許さない。失せろ」


俺がそう言った後男爵令嬢はルカノアにひきづられて学園から出て行った。


フェリシアがちょんと俺の制服の裾を引く。


「イーサンお腹減ったわ」


カフェテリアの方を見ながら言うフェリシア。


「あぁ、行こうか」


手を出しフェリシアをエスコートする。



こうして私とフェリシアの生活は日常に戻っていく。


あの男爵令嬢が私たちの前に姿を表すことは二度とないだろう。


いくら温厚と言われる私でも、婚約者に一方的に詰め寄ったり、手をあげようとする奴を許すほど寛容ではない。


婚約者のことを溺愛しているのは何もフェリシアだけではないと言うことだ。


男爵令嬢はきっとお家取りつぶしと海外からの縁談と言う名の国外追放。

転生先は大好きだった乙女ゲームという典型的なパターンの男爵令嬢です。

でもいざ学園には入学しても攻略対象は誰にも会えないし、イーサンはいつもフェリシアと一緒にいるしでイライラしてこのようなことになってしまいました。


フェリシアもイーサンも常識人だし、相手のこと大好きなのでこれぐらいじゃ関係は壊れないです。

王族の役割も理解しているので、仲良し王太子夫妻として結婚後は有名になると思われます。


乙女ゲームのイーサンとは別人です。


乙女ゲームの中のイーサンはフェリシアを嫌っていましたが、このイーサンはフェリシアに一目惚れしていたためヒロインの入る隙はありません。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


改善点ご感想は受け付けております。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 婚約破棄ものが多い中で、男性の視点からの構図で、婚約者を溺愛して忠実である、割り込もうとするヒロインを排除すると言うのが、珍しくて新鮮でした。  [気になる点] 誤字脱字について。  なん…
[一言] この男爵令嬢はゲーム脳なんでしょうね。 可哀相に。 ちゃんと現実を見ろと言いたいですね。 ただ、男爵令嬢の家族は可哀相ですね。 親には彼女をキチンと教育出来なかった責任はあるでしょうけど、…
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