マユキは初めての冒険をおえる。
ホーンラビットが向かっていき角がジムに突き刺さろうというその時・・・・
ホーンラビットの首にダガーが突き刺さる。
ホーンラビットの動きが止まり、其処に、ジークが駆けつけ止めを刺す。
戦闘はとりあえず終わった。其の代償は大きくジムが手首に大きな穴を開け涙と鼻水を流してうずくまっている。ジムの両腕からドクドクと血が流れて行く。
「やばい、早くジムの血を止めないとジムが死んでしまう。」ジニーが青い顔で叫ぶ。
マユキは自分の服を破き、ジムの腕を縛り上げる。ジムの腕から流れる血液が少なくなるがそれでも血の流れは止まらない。
そこに、ミーナがいつの間にかバックパックと持ってきており其の中から一つの瓶をとりだす。
「マユキどいて!!」
ミーナはマユキを押しのけジムの前に立ち、瓶の蓋を開け瓶の液体をジムの傷口にかける。
そうすると、傷口は少しふさがり血液の流失が収まる。さらに無理やり液体を飲ませるとジムは青い顔をして横たわり意識を失う。ミーナが言うには、今、傷口にかけたのはハイヒールポーションである程度の傷をふさいだり、HPを回復させたりする薬で応急処置しただけだそうだ。てとりあえずの危機は脱したけど、このまま放っておいたら死んでしまったり、手がだめになってしまうから早く王都に帰って治療に当たらなければ取り返しのつかないことになる。
「一刻でも早く王都に帰ろう。」
ミーナ、マユキ、ジーク、ジニーが目を合わせ頷く。
ミーナはダガーを回収し、ジークがジムを担ぎ来た道を帰りだす。ミーナはジムとジニーの親に報告するといって先に走ってもどった。
森からの帰り道に魔物と出くわすこともなく王都の東門まで無事に帰ってくることが出来た。そして、門を抜けジムとジニーの家に向かう。マユキたちがジムたちの家に着くとすでにジムたちの両親が待っており、ぐったりとしたジムを見てジークのところに駆け寄る。母親がジークからジムを奪い取りジムを強く抱きしめる、ジニーも母親のところに駆け寄って行く、母親はジニーの頭をおもいっきり張り飛ばした後、ジニーもジムと一緒にだきしめる。
父親がマユキたちのまえにたつ。
「お前たちには、迷惑かけたな。ジムは怪我をしてしまったがこれはお前たちのせいではないので気に病むことはない。ただ、もうカードマの森には俺たちの息子を誘わないでくれ、初めての狩りでゴブリン二匹とホーンラビット一匹をしとめてしまうようなお前たちとは、何かが違うのだろう。でもな、学校や街のなかでは今まで通りでいてくれて結構だ。俺も子供のころはカードマの森に冒険もどきをしに行った。幸い魔物には出会わなかったがいい思い出だ。なんていうのかなぁ。。親の立場になって分ると思うんだが危険な場所に行ったりしてほしくないんだ。。。すまないな」
ジムたちの父親は真剣な顔でマユキたちを見つめる。そして、母親は二人を抱きしめたまま、すごい目をしてマユキたちをにらんでいた。子を思う親の気持ちは言葉の上では解っても真の意味で理解できるものではなかった。
ジム達の父親は、これからのことを軽く話してくれた。
まずは、ジムの治療のこと、腕は左手首に大きな穴が開きかなりひどい状態だ、右手首は開いた穴が小さかったのでハイ・ヒールポーションで穴がふさがりかけている。右手だけだったらもう一度ヒールポーションを使えば何とかなりそうだということだった。左手はレザレクションの使える、聖職者、ヒーラーまたはリザレクション・ポーションを使わなければ無理だろうとのことだった。マユキの家は商売をしていて顔が広いからもう少ししてからマユキの家に行って紹介してもらえないかと考えているとのことだった。
「お前たち、一旦、家に帰って休め、それとマユキすぐ後でお前の家に行くからロイに言っておいてくれ。」
マユキたちは追い出される形でジム達の家をでる。
ジークは無言で歩く、其の横をマユキが、そして、其の後ろにミーナが・・・
三人とも、表情が暗い。
。。。。。。。。
まっすぐ、前を見据えて歩くジークが真剣な顔でマユキに話しかける。
「俺は狩りをやめない。これからもカードマの森行く。。。。お前はどうだ、マユキ」
「僕は、、、、」
マユキは言葉に詰まる。
「ミーナはどうだ。」
「私は、マユキが行くなら行くし、行かないなら行かない。」
ミーナはきっぱりと言い切る。
「ミーナはホントにマユキが中心だなぁ」
「私は、マユキの側にいららればいいし、、、、、」
ミーナは言葉に詰まる。いろいろ思うこともあるし、考えることもある、伝えたいこともある。でも、言葉にすることが出来ないし、言葉に出来ても今は話すことが出来ない。もどかしい表情でうつむく。
「なぁジーク、そんなに急がなくてもいいじゃないか?ゆっくり、訓練してからまたいってもいいじゃないのか?」
「いや、ダメだ、こんなところで立ち止まっていたら夢なんかかなわない。さっき、PCを見たらまたLVが1あがっていた。訓練なんかより狩りの方が効率がいい。」
「パーソナルレベルが上がっても強いってわけじゃないぞ、ステータスがあがるだけで」
「わかっている。でも、ステータスがあがれば出来きることが増える。単純に力、スピード、耐久性があがれば今日みたいにはならないだろう。きっと、ジムに攻撃が当たる前に間に合っていたか、なにか対処できたはずだ。勿論、剣の訓練は怠らないし、基礎訓練も怠らない。LVアップだけがステータスアップの道じゃないからな。低レベルのうちはレベルアップが強くなる近道だ。」
「なにを、あせってるの?ジークなら今のままでも騎士になれるよ。」
「ああ、騎士にはこのままでもなれると思うよ。たぶん、でも騎士はあくまで目標で夢は英雄と呼ばれるような騎士になりたいんだ。そのためには圧倒的な力がいる。一流と呼ばれる人たちは俺たちの年代にはゴブリンぐらいには無双してたはずだ。とにかく、お前たちが行かなくても俺一人でも行く。」
どうやら、ジークは狩りの興奮状態がまだ残っているようで話にならない。そして、簡単にLVがあがったことによって地道な努力を軽んじてるのではないだろうか。
かなり危険な状態だマユキはそう考えジークに応える。
「わかった、ジーク、お願いを聞いてくれたら一緒にいくよ。」
「何だよお願いって」
「絶対に一人で行かないこと、今まで以上に日々の訓練を励むこと、目的を持っていきそれが達成されればすぐに帰ること、目的が達成できなくても無理せず帰還すること、、、まだ、言うかもしれないけどとりあえずはこんなとこ。」
「こんなとこって、まだあんのかよ、まあ、訓練は望むところだし、ほかのことも当たり前のことだからいいよ守るよ。」
「あと、、、狩が終わった後、狩りの反省っていうか振り返って自分たちの行動を客観的にどうだったかベットの中ででも考えてほしい。」
「わかったよ。」 ジークは返事をする。
ジークは一人で狩りをするのはまだ無理そうだと自分でも思っている。でも、簡単にLVがあがってしまった。この気持ちを抑えきれないでいた。友達が怪我をしても自分だけは大丈夫上手くやれる、そう考える。そして、一人で狩りに行き怪我をしたり、そのまま帰ってこれなくなる可能性が高いことそれも頭ではわかるのであった。その思いをマユキぶつけているのであった。
その思いを感じたのかマユキはジークに無理をさせないように、ジークの歯止めになるような提案をした。マユキ自身もジークの気持ちが解らない訳でもなかった。自分自身が強くなる喜びは麻薬のように癖になり自分では押さえが利かない、それが、なぜかマユキには理解でき自制できた。
そうしている間に、マユキたちは自宅の前につく。
「じゃあな、また明日。」
マユキハはジークと別れる。
「ただいま戻りました。」
マユキの初めての冒険はこうして終わる。
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ストックはありませんので連載は不定期です申し訳ございません。