マユキはレベルアップする。
ジークはみんなに話しかける。
「さぁ、俺たちはこれからどうする?」
ジークは今からの行動をどうするかみんなに問いかけた。一応、ゴブリンを狩ることが出来たし、魔石も回収できた。ゴブリンの所有物は銅貨2枚と鉄銭15枚、錆びたダガーが一本だけだったが子供にしたらたいした収入だ。それに魔石を売れば収入も増えるから、マユキの言っていた冒険の成功条件に3個は当てはまる。だから、王都に帰るのもありな話だけど、まだ、この森に来て1時間もたってない。ジークとしてはせめて昼飯を食べるまではここで狩していきたいようだった。
しかし、マユキたちほかの4人は一回の戦闘でつかれきっている。やはり、初めての戦闘はきつかった様だ。よって、マユキは王都への帰還が望ましいと考えている。先ほどの冒険者たちの行動を見てもそうだ。まだ、時間が早くてもクエストが終了すればすぐに帰る。これが一番正しい選択だ。
「ジーク、みんな、疲れてるしいったんかえろうぜ。」
マユキはジークに王都に帰ろうといった。
その時、ジムから、大きな声が上がる。
「おい、おまえら、自分のPC見てみろよ。LVが上がってるぞ。」
その声を聴いて、各々がPCをチェックしはじめる。
「ホントだ、LVが1上がってる。」
「まじかよ、ゴブリン2匹倒しただけなのに・・・・」
マユキもPCをチェックすると確かにLVが1上がって13になっている。
ステータスの数値も少し上昇しているようだ。
マユキは、ジークたちが興奮状態になっているにに気づいた。
ジニーが話し出す。
「まだ来たばっかりだし、体力も残ってるし、もうちょっと狩っていかない。それに、こんなに簡単にLVが上がるなんておいしすぎる。」
それに乗っかって、ジムが、
「そうだよ、もう少し狩ってこうぜ!まだまだ、時間もあるし。」
ジークがそこで締めにかかる。
「よし、決定だなもう少し冒険していこう。さっきの手順でもう一回いいな!!」
そこで、マユキがもう一度口を挟む。
「みんなちょっと待ってくれ、こんな、まえのめりの状態じゃ絶対に怪我をするにきまってる。さっきの冒険者のお兄さん達みたいに目標を達成したら、さっと帰るべきだと思う。なっ、ミーナもそう思うだろ。」
ミーナなら、止めてくれると思いミーナに話を振る。
「私は(マユキが)怪我さえしなかったら、どっちでもいいけど、どちらかと言えばマユキの意見に賛成かな。」
ジークはミーナのどっちでもいいを聞いて、多数決を取ろうと切り出した。今回の冒険にのキーのなるのはミーナの能力があってこそだから、ミーナの協力が得られれば何とかなりそうだからである。
「じゃ、冒険続行希望の人、手を挙げて!!」
当然、ジーク、ジニー、ジムが手を挙げて狩りの続行が決定される。
マユキはなんかいやな気がするから、もう一度考えさないかと提案するが多数決だからと却下される。
「さっきの人達みたいなのが生き残るんだと思うんだけどなぁ・・・」ボソッとマユキはつぶやく。
それを聞いたジークが反論する。
「そんなだから、あの人たちはいつまでもこんなとこで狩りをしている駆け出し冒険者なんだよ。俺の知る一流の人たちはこんなところは子供の時分で終わりだって言ってたぞ。」
マユキは、酷いこと言うなぁと思いながら考える。ジークの言う一流の人たちは確かにそうなんだろう。その陰に、何人の同じことをして怪我をしたり死んだりした人がいるかわからない。って言うかほとんどの人間は一回目の冒険で何も得ることができずに帰っていくに違いない。今回、僕たちは、たまたま上手くいって調子に乗って怪我するパターンなのか・・・・・。とにかく、マユキがどう思おうが何を言おうが冒険は続行される。実際、マユキも理性ではこう考えるが自分たちだけは大丈夫だしうまくいくと思っている。やはりマユキも興奮状態なのだろう。
「なんか、嫌な予感がする。怪我しても知らないぞ。」
マユキのその言葉にジムが俺たちなら大丈夫だってといってマユキの背中をポンとたたく。
そして、最初の計画通りに冒険は再開されることになった。
まず、ミーナが池の周りを気配を消して索敵にでる。
・・・・・・
しばらくして、ミーナはみんなのもとに帰ってきた。
「駄目ね、今この辺りには何もいないわね。」
「仕方がないよね。ここで、ゆっくり休憩して昼ごはん食べて帰ろうよ。収穫もあったしLV上がった。十分でしょ。」
「マユキの言うとおりだな。少し休もう、そんなに沢山出てくるんならこの辺は危険でしょうがないってことだしな。」
ジークはマユキの意見に賛同し、みんなで水遊びを始める。ミーナはお昼ご飯の用意をしはじめる。
ジークとジニーは小川の付近に行き水に入り大きな石をひっくり返したりして川エビやカニを探している。ジムとマユキは火を起こす為の薪を探しに池の周りをうろついた。
マユキがミーナのところにきて拾ってきた木を組んで火を起こそうとする。
なかなか火がつかない、ジムも戻ってきて一緒に火を起こそうとするがなかなか火がつかない。すると、ジムが「そうだ、マユキがファイアの呪文で火をつければいいんじゃない」とマユキに提案する。マユキは「一応、今、冒険中だからMP残しておきたいけど、、、、いいか、どうせ少し遊んだら帰るし。」
うんうんとジムが頷く。
マユキは、火を起こすために組んだ薪のところに向かってファイアの呪文を放つ、心なしかさっきのファイアの呪文より火力が上がっているような気がする。無事、ファイアは薪に当たり燃え上がる。
「マユキ、さっきゴブリンに撃った時より呪文強くなってない??」
「ジムもやっぱりそう思うか、やっぱり、LVアップしたからかなぁ~。」
「そうだよ、絶対に俺たち強くなってるって、、、お昼ご飯食べても少し粘らないか!!」
ジムはLVアップが嬉しくてもう少し頑張りたいようだった。マユキはもう帰る気でファイアを撃ってしまったことを後悔した。もうあと一発ファイア撃てばMPが切れてしまうからである。マユキは家に帰ったらMP消費の少ない着火の魔法を覚えようとおもった。
薪がまだ足りなそうなのでマユキとジムはもう一度薪を探しに行く。そうしていると、ジークとジニーがミーナのところに帰ってきた。マユキの起こした火に大きな石を置きその上に小川で獲ったエビとカニを置く生きたまま焼く残酷焼きだがしばらくするといい匂いがしてくる。
「お、いい感じに焼けてきたな。」ジニーがつぶやく。そこに、マユキが薪を持って帰ってきた。
「すげー、エビおいしそう!!」
その時、、ミーナが大声を上げる。
「いけない!!ジムの近くに何かいる!!!」
嬉しそうに薪を抱えているジムのほうを見るとその後ろからジムと同じぐらいの大きさのウサギの形をした魔物が現れた。ホーンラビットである。
ジークが大声でジムに向かって叫ぶ。
「ジム、後ろに魔物がいるにげろ!!!!」
ジムは後ろを振り返るとホーンラビットと目が合う。恐怖に襲われジムはその場所で立ったまま固まってしまう。
マユキはファイアを発動しようと魔力をためる。ジークは剣をもって走りだす。ジニーも煙玉をもって走り出すミーナはダガーを手にすっとダガーの投げれる位置まで移動る。
ホーンラビットは森から出てジムに向かって走り出す。その拍子にジムはビッとなりしゃがみ込む。
ホーンラビットがジムに襲い掛かる手前でファイアの魔法が完成し炎の矢がホーンラビットに襲い掛かる。
炎の矢がホーンラビットに当たる直前にホーンラビットが炎の矢に気づき回避する。しかし、炎の矢を回避しきれずに少し当たりギャウという鳴き声を上げ後退する。
マユキはもう一度ファイアを撃とうと魔力をためるがMP不足のために眩暈を覚える。やはり、火を着けるのに無駄撃ちしたのが利いている。それでも、頑張って魔力をためる。
ジークは全力でホーンラビットに向かっていく。あと少しのところまで来ている。
ミーナはジークとジムが射線上におりダガーが投げれないので横に展開している。
ホーンラビットが体勢を立て直しジムに襲い掛かる。
ホーンラビットの長い角がジムの頭に向かっていく。ジムは、ヒッと声を上げ両手で頭の前を庇う。
ホーンラビットの角がジムの両手の手首を貫きそのままジムの体を引き上げ首を振る。首を振ると角が手首から外れジムは吹き飛ばされジムは地面に転がる。
ホーンラビットが向かっていき角が突き刺さろうというその時・・・・
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