表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/27

4月1日 夜

 今夜もテントで広美と二人きりになった。

 昨夜と違うのは、広美が僕の方を向いて寝ているということだ。

 吐息は当たらないが、寝息は耳の中に直接届いている感触がある。

 本来なら感じられるはずのない振動だ。

 それはでも、単なる錯覚かもしれない。

 とにかく眠ることにした。

 昨夜ほどの緊張はない。

 それは前日に綾ちゃんへの思いを確かめられたからだろう。

 届かぬ思いでも、気持ちは変わらなかった。

 好きでいることだけで、幸せな気持ちになれる。

 僕にはそれだけで充分だった。

 それ以上、何を望むというのだろう?

 綾ちゃんがいる、ただそれだけで満ち足りた気分になるのだ。

 この気持ちを、誰が否定できようか。

 好きになることは、誰にも止められないことだ。

 綾ちゃんが迷惑だと感じない限りは、思い続けていたいと思う。

 女子とテントで二人きりだというのに、そんなことばかり考えていた。

 これではせっかくのシチュエーションが台無しである。

 やっぱり僕は役者に向いていないのだろう。

 それでもいい。

 僕は綾ちゃんが立つ舞台をこしらえる方が好きだからだ。

 それよりも早めに起きて、ユウ君と朝釣りをしたかった。

 もう、考え事はやめよう。

 夜中に目を覚ますには、眠りを浅くする必要がある。

 仰向けで眠れば、眠りが深くなることはないだろう。

 早く眠りに入るコツは、意識的に寝息を立てることだ。

 自分でも意識が途切れるのを感じることができる。

 今日も熟睡してしまいそうな感じだ。

 それならそれで構わない。

 どうでもよくなったら、それが眠りの合図だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ