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4月1日 夕方

 厚手の格好をしているが、まだまだ寒さが堪える時期である。

 夕食の準備のために火を起こしてから、みんな焚き火の前から動かなかった。

 風はない。

 天候にも恵まれている。

 カメラの映像だけなら朗らかな陽気に見えるだろう。

 しかし、実際は身を寄せ合あわなければいけないほど、身体は冷え切っていた。

 一時は険悪な雰囲気があったものの、今はそういった雰囲気ではなくなった。

 自然の前では、すぐに心が氷解するものだ。

 太陽の傾きと共に、わだかまりはねじ伏せられていった。

 また、この日も抗いがたい寂寥感がやってくる。

 太陽が昇るまで、ひたすら我慢しなければいけない深い闇だ。

 わがままに育った僕たちを、謙虚にさせられるのは自然の力だけだった。

 昼間の刺々しい冗談も、夕方からは趣が変わる。


 ユウ君に作ってもらったおかゆを見て、座長が困惑していた。

 レンゲや箸がないので、すぐには食べられないのである。

 少し冷めてから食べればいいのに、座長は待たなかった。

 熱くなった飯ごうを手にしては、大袈裟にリアクションして僕たちを笑わせた。

 さらにアツアツのおかゆを直飲みしては、大笑いさせるのだ。

 その様を見ただけで、普段ならおもしろくもないのに僕たちは笑うことができた。

 座長はただ、「アチッ、アチッ」と言って食べているだけだ。

 それなのに、堪らなく可笑しいのである。

 みんなが一緒に笑うことで場が和んだ。

 これは座長なりの気遣いなのかもしれない。

 さっきまであった、わだかまりが消し飛んだ感じだ。

 やっぱり大事な場面で道化を演じられるのは、座長だけである。

 同い年の友達でありながら、最も尊敬できる人物だった。

 座長と知り合うことができて、本当に良かったと思っている。

 僕は今、青春の真っただ中にいることを感じていた。

 それを演出しているのは、間違いなく座長だった。

 彼の前では、誰もが輝くことができるのである。


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