絶対に1
直ぐ隣が、若長フールンのゲル群だったので、
駆け出した愛恵は、何もかも察したような顔をした
フールンに迎え入れられ、
今、温かい羊の乳の器を持たされて、フールンの前に座っていた。
ずず・・・ともう3口目くらいになる乳を飲んで、
愛恵は、フッと気付いた。
「・・・・フールン・・・さん?
私が来るのもしかして知ってました?
もしくは、お兄ちゃんから何か私に隠している事情とか実は、
聞いているとかですか?」
顔をあげて聞いた。
何だか余りにも、始めから打ち合わせをしていたかのように
準備が良い・・・様な気がする。
見回してみると、人は、愛恵と、フールンと、
先ほど何となくお久しぶり(?)ですのご挨拶を交わした
にこにこフールンの隣に座っている
少し大人になったセレンゲだけだった。
そして、何故か、二人で食べるには、多すぎる食べ物と、
飲み物、器が3つおいてあった。
フールンは、苦笑いを浮かべると、
「マナエは、子どもが好きなんですよね?
ケンイチから聞きました。・・・・娘が生まれたんですけど
見てくれますか?」
と言った。
フールンさん、誤魔化そうとしている・・・
愛恵は、そう考えて、次の瞬間、仰天した。
「・・む・・・・娘ぇ!!!?」
「あの・・・・兄から、あれから、2年ほどたっているって
聞いたのですけど・・・・娘さん2歳ほどになってますよね?
私達が居た時に、生まれてましたっけ?」
呼ばれてきたのか、奥から小さな女の子が出てきて、
フールンのお膝にチョコンと座った。
可愛すぎるな・・とトロンと見ていたが、
ふと気が付いてそう言った愛恵に、
「・・・そうですね、生まれて、2年程、
マナエと、カオンが居た、婚儀を行った年から、
2年程して、この子が生まれまして、更に2年、
この子は、2歳位で、あれから4年がたっていますね。」
「・・・・お兄ちゃんたら、恥ずかしい!・・・
間違えて教えたの?」
恥ずかしさに、赤面してそう言った、愛恵に苦笑しながら、
フールンは、小さな可愛い自分の娘を撫ぜていた。
仲良いな、親子だな・・・と見つめていた愛恵は、
「ああ、そうそう、お兄ちゃんと一緒にケルレンさんが居ましてね
ケルレンさんの所の子どもも可愛かったな・・・男の子だったですよ」
フールンの娘を見ながら、ふと思い出して、
愛恵はペロンとそんな事を言ってしまってから
ハッと気付いた。
『私に会った事は言っても良いけど・・、チールンの事とか、
私の様子とか言わないで、ただ、聞かれたら「元気だった」とだけ・・』
ケルレンさん、そう言っていた!
愛恵は、すっかり忘れていた。
そんなに言ったらいけない事だと言う意識が無かったのが
いけないのかもしれない。
「ああ・・・・・言わないでって言われてたのに!
人には、色々事情があって、分からなくても言ったらいけないこと
あるのに!!!!」
頭をポカポカ殴りながら愛恵は激しく反省した。
(本当に何て馬鹿なんだろう)
「・・・・・ケル・・・・レン・・・に子どもが・・・?」
フールンのぼんやりした声に愛恵は叩くのを止めにして
思わず其方を見た。




