求婚1
「とにかくフールン君に引っ付いとくんだぞ」
兄の健一はそう言う謎な言葉を残して
花音の様子を見に席を外した。
そして、何故か愛恵の目の前には、大量の料理と、
少し頬を紅くした、何時だったかは、フールンと
一緒に居た若い男が正面に座っていた。
「・・・あ・・・まあ、此方は、『リーフォス』と言います。
私の次兄ですね。・・・それで、リーフォス兄上、
改めて、知ってのとおり、此方は、『マナエ』
私のアンダ<盟友・・義兄弟>です。」
なんとも言えない表情でフールンが若い男を愛恵に紹介する。
「・・・マナエ、俺、一生懸命、フールンと一緒、
マナエの国の言葉覚えた。」
「はあ・・・」
ジッと穴が開くほどの眼力で愛恵を見ているリーフォスに、
愛恵は、居たたまれなくなった。
「俺、結婚して下さい。」
リーフォスの言葉に愛恵は、これは絶対言い間違いか、
聞き間違ったと思った。
視線の片隅でチーフォンが、あらぬ方を向いて
頬をポリポリ掻いているのが見えた」。
「・・・・えっと・・・・はい?」
「牛100頭、羊600匹、馬200頭、山羊600匹。
半分、マナエ、半分、マナエ、の、子」
理解できない言葉がリーフォスの口から続く。
「ケンイチ、は、血、繋がってない、きょうだい、
でも、きょうだい、結婚、出来ない」
真剣な顔のリーフォスに
ふと、健一の言葉を思い出す。
(『・・・なあ・・・・愛恵、
お兄ちゃんと結婚しようかって言ったらどうする?』)
もしかして、このことが、原因?