女の子同士?3
お風呂から上がった花音は、髪の毛から少し雫を垂らしながら
毛布に丸まってお風呂の場所の
すぐ近くに眠っている愛恵に視線を落とした。
そっと手を伸ばして湿ってしまった愛恵の少し猫毛のような
癖の付いた髪を一房掬ってみる。
濡れた服は、また、着て来た服に着替えなおす事で
脱いだようだが、髪の毛は濡れたままで寒そうだ
愛恵の頬に触れると指が濡れる。
花音はそのまま濡れた指を口元に持って来て舐めてみると
思ったとおりしょっぱかった。
「子どもみたいな人ですね・・・・
やっぱり寂しくて泣いてたんですか?」
適当な乾いた布がなかったので、自分の服を手に取り
黙って愛恵の頭を拭く、
「・・・ん・・・」
一緒に頬を濡らしていた涙も一緒に拭い去ってやる。
「世話がやける人ですね鈴木愛恵さん・・・・
愛恵・・愛を恵む・・・か・・。」
ジッと視線を落とす花音に気が付いたのか、
頭が擦られて少し覚醒したのか、
ぼんやりと瞳を開けて愛恵は、
「・・・・ん?・・・・お兄ちゃん?・・・
あれ?花音ちゃんだぁ・・・・綺麗な目・・・紫の宝石みたい
髪の毛もサラサラで綺麗・・・気持ち良い・・・」
うっとりと花音の瞳を見て、
結う為の紐もゴムも無くなった為に
そのままにしていた花音の髪の毛を撫ぜて
指を滑り落ちる感触を楽しむ。
「一緒に寝ようね・・・女の子同士だから良いよね?
一緒に居てあげるからね・・・心配ないよ・・・一緒に居てね・・
きっと、おにいちゃんが助けに来てくれるから・・・」
呟いて再び、よほど疲れていたのか
コテンと眠ってしまった。
花音は真っ赤になって口元を押さえた。
「・・・・あ・・・貴女は・・・
よっぽどお兄ちゃんが・・・鈴木先生が好きみたいですね
せいぜい、寝ている時くらい好きな人の夢を見ると良いですよ。」
花音は、伊達眼鏡を外し下に置くと、紫水晶の瞳を閉じて
愛恵の髪の毛に口付けを落とした。
「・・・・女の子同士だから?・・・・・半分だけね」
年齢に似合わない妖艶な表情で花音は笑った。
「・・・・どうしてだろう・・・・私は、
この国に世界に覚えがある。・・・・
まるで帰ってきたかのように懐かしい・・・不安なのは私の方ですよ
鈴木愛恵さん。
この身体、この異世界で懐かしく感じてしまう感覚、
全てが分かっても貴女は、私にも愛を恵んでくれますか?」
巻き込んだのはもしかしたら私の方
花音は呟いた。