全ての始まり
草原の国、モルドル。
部族達の争いに幾度と無く草原は、血と馬のひずめに蹂躙されていた。
西の大部族イェニセイ
東の大部族オタル
北に勢力を持つハンガイ部族
先だってこの3部族を中心に国全体を巻き込むような
大戦乱が起こった。
それは、実は、一人の上級魔族と
それに付き従うもう一人の魔族によって引き起こされたものだったという・・。
一面の緑の絨毯
雷鳴と大地に叩き付けられるが如くの天からの水
その男と少女は歩いていた
何処まで続くか分からない旅路をただもくもくと、
既に日は落ち、辺りには人影どころか建物の影すらない。
雨に濡れぬ為なのか姿を隠す為なのか、
男と少女は、深く深く灰色のローブを被っている。
ふと垣間見える少女の腹は、アンバランスに大きく膨れ
男は、何かから逃れるように、そして何かから守るように
少女の肩を抱えて先を急いでいた。
子どもは、大賢者と呼ばれる者の子どもだった。
面と向かって教えられた事は無かったが、
傍に来てくれる事こそ無いものの時々訪れるその人が、
実の父であると言うことを、子どもは、勘づいていた。
村の外れの家で、村長の家族に、世話になりながら、
時々思い出したようにやって来る父を子どもは、待っていた。
そして、父が連れている姉という少女を
子どもは、無邪気に慕っていた。