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家族の免罪符
僕の中で記憶が浮かび上がってくるにつれて、罪悪感ばかりが強くなっていった。
僕という異質なモノを受け入れたばかりに壊れてゆく『家族』
幸せな『家族』を取り戻そうと戦った父親。僕を含めた『家族』として守ろうとした母親。
そして両親亡き後も『家族』の一員として、守ろうとした兄弟たち。
記憶の覚醒と共に、僕は異質なる能力も取り戻してゆく。
なるだけ自然に見えるように、兄弟たちに祝福を与える。兄王が輝きを失わぬ治世の礎、次兄が心穏やかに兄王を支えてゆける地盤、弟が秘めた力を発揮できる契機…。それは少しでも長く此処にいるための、免罪符みたいなものだった。
僕が消え去ってしまえば、全てが解決することも知っていたけれど…
ただ僕は、あの三人と兄弟である自分に少しでも長く、しがみついていたかった。
いつか孤独に還る日が来ても、この暖かさと優しさを、忘れずにいられるように。