番外編~月宮雅人 中編~
Moon Catが現れたのはいつだったか。
それは、つい半年前の事だった。
まだ、Moon Catも無名の頃の話だ。
ある時、何の前触れもなく月に二~三度ほど有名な宝石店や美術館のものが盗まれていった。宝石などは、あまり価値の無いものから、価値の高いものなど。最初はただ単にそいつは闇雲に物を盗んでいるのかと思われていた。だが、そうではなかった。目撃者の話を聞く限り、何かを探しているようだと。
そこで、俺は仮説をたてた。Moon Catは、¨あるもの¨を探すために怪盗をしている。でも、それを気づかれないように他の物も盗んでいる。
しかし、その仮説は少し違っていると分かったのはそれから数日後の出来事だった。
★☆★☆
俺はその日、立て続けに三件の事件を解決した、そんな日の出来事だった。その日の仕事が終わったのは、深夜零時を少し過ぎた時間だった。その日の激務に疲れながら帰路を辿っていた。ちょうど宝石店の前を通った時だった。ガラスの割れる音がすぐ、真上からした。
そこには、粉砕されたガラスと黒い影が窓枠から飛び出してきていた。
黒い塊は良く見ると人間の形をしていた。しかし、こんな状況に一番に思った事は『奇麗』だった。銀色の髪は月光によりきらめき、チラッと見えた顔は整っており、その金色の瞳は強いものの光を帯びていた。そして、その正体は最近出没する無名の怪盗だとすぐ分かった。
そいつは、粉砕されたガラスよりも早く、そして舞うように地面に降り立つと次の瞬間にはもう走り出していた。そしてすれ違いざまに『やっと、見つけた』と呟いたのだ。それは俺に向けて言われた言葉ではなく、ただ単に独りごとだったのだろう。その声は凛としており、そして鈴が鳴ったような透き通る声をしていた。
★☆★☆
俺は、その時なにも反応出来なかった。
そして、後日盗まれた宝石を調べると、大した価値の無いものだった。
しかし、それからも奴は盗みをやめなかった。
そこで俺は、奴が探しているものは一つではないと知ったのだ。
それから数カ月後、奴はMoon Catと呼ばれるようになった。
呼び名はMoon Catだけでなく、【舞姫】や【月の君】、【猫姫】など・・・・。この三つが特に有名な呼び名だ。
外国では、【ジャパニーズニンジャ】などだ。外国で日本の忍者に憧れている忍者ファンの人たちはMoon Catの事をそう呼んでいる。
それから直ぐに俺達はMonn Catの事件を担当する事になった。
誤字脱字直しました。
ここまで読んで下さりありがとうございました。