ハッカーな双子
舞花side
「ただいま~!!」
玄関で履いていたお気に入りのブーツを脱ぎその足でリビングに行くと、穂志と咲月がヘッドホンを耳に装着して、物凄い速さでキーボードを打ち込んでいた。
穂志と咲月はそれぞれパソコンを一台ずつ使っていた。
私がリビングに入ってきたのが分かるとパソコンの画面からこちらに顔を向けて、手はキーボードを物凄い速さで打ちながら満面の笑顔でお帰りと言ってくれる。
買ってきたライムの生活用品の入った袋をソファーの上に置くと、自分もソファーに腰をおろしつつ双子の妹たちを眺める。
そして、いつも思う。二人のハッキング能力は凄いと。いつもはそこらへんの小学五年生と変わらないのに、こういう仕事の時には顔つきが変わるのだ。
私が身体能力の恩恵があるのだったら、この双子たちは物を作る能力と、壊す能力に恵まれている。
物を壊すと言っても使いようには、いくらでもその使い道がある。
ほら。実際に今だってその能力を使っている途中なんだ。ベージュと桃色が混ざった普段の髪色が今は銀色に輝いているもん。
咲月は作る能力。穂志は壊す能力。
二人はいま、ハッキングの途中なんだけど、普通ならセキュリティーに引っかかってしまう。それが警察の上層部だと余計にね。
だから、穂志がセキュリティーを突破した瞬間プログラムにも認識出来ない速さで咲月が修復するんだ。
だから、色んな情報がこの二人のお陰で掴めているんだ。
そんな事を考えていたら、セキュリティーを全て突破した二人はいい笑顔でこちらを振り返ってヘッドホンを渡してきた。
ヘッドホンを耳に当てながらパソコンの画面を覗きこんだ。そこにはハッキングした内容が打ち込まれていた。
ヘッドホンを装着すると咲月が内容を大まかに説明してくれた。
「えーとねえー。昨日舞お姉ちゃんが入った宝石店に舞お姉ちゃんの髪が落ちていたらしいの。で、その髪のDNA鑑定しようと髪を入れていた小瓶の蓋を開けた瞬間、煙になって消えちゃったんだって。これの内容の通話記録あるけど聴く?」
「うん。一応」
咲月がキーを押すと音声が流れ始めた。
『――――――雅人か?すぐ連絡しときたい事がある』
『なんだ?』
『―――――事件現場で見つけた銀色の髪だがな、厳重に保管していたにも関わらず――――――――消えた』
『誰から?雅』
『いや、詳しく言うとその髪を調べるために小瓶に入れていた蓋を開けた瞬間、煙になって消えたんだ。俺たちも何が何だか――――』
そこで通話が終わっていた。
通話の声は雅と、知らないおっさんの声。ついでに要。
「あーあ。せっかく証拠見つけたのに、残念だよねぇ~。ホント」
付けていたヘッドホンをはずしながら言いながら、もし、普段の髪色だったら・・・・と思ったらぞっとした。
それからそんな失態は見せないとも、心に誓って。
「ホシ達が銀髪の時の髪は魔力吸わないとすぐに消えちゃうもんね~」
「ねぇ~!!」
そんな時、キッチンから覗く影と目があってしまった。
「あらあら。猫ちゃんの物ほっぽって何やってるのかしら??」
あ。やべ、忘れてた・・・・。
なんか黒いオーラがミエマスヨ?
私からしたら警察なんかよりよっぽどかお母様のほうが怖いわ・・・・・。
更新遅くてすみません。
舞花達の正体が多分もう少しで分かると思いますよ(ホントに多分)
ここまで呼んで下さりありがとうございました。