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鏡のカノジョへ贈る  作者: 藤崎403


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7/11

曇りの日

「ねえ、小野田さん。あの変な人、次はいつ来るの?」

どんより曇ったある日の昼休み。

かがみさんが教室に来てクッキーを焼いて(不審者クッキー事件)から、僕はたまにクラスメイトから話しかけられるようになった。

今日は少し地味なこの子。

長い三つ編みの眼鏡の子は見た目に反して少しノリの軽い女の子だ。

「あの時のクッキー、美味しかったよね。ジャムの入ってるやつ!あんなのお店でしか見たことないもの」

それは普通にジャムクッキーで言うのだ。本を読め。本を。

「さあ、あの人の行動は僕には読めなくて」

「連絡先とか知らないの?電話とか?住所とか?」

「連絡先は知らない。いつも向こうが押しかけてくるから」

「そうなの…?」

不思議そうな顔をする地味子。

「でも、街中では一緒にいるのをよく見るわよ。全部偶然ってことは無いだろうし…」

地味子は心の底から楽しそうに微笑んだ。

「あなたのこと、とっても気に入ってるのね」



気に入っている?かがみさんが?僕を?

ぼんやりと頭の中で反芻する。

どんよりとした空の下、横断歩道の赤信号が変わるのを待つ。

僕に興味を持つ人は今までミラさんだけだった。

鏡さんと出会い、いろいろと行動するうちにクラスメイトとも話すようになった。

これが普通なのだとしたら、意外と悪くない。

誰かに気にされ、気にして、話して。でも、みんなが僕を気にするのはかがみさんのおかげなのだよね。

かがみさんに価値があるのであって、僕にはない。

僕のことを気にしているのではなく、あくまでかがみさんの付属物なのよね。

僕自身には価値が無い…と思う。

これまでも僕は教室の隅にいたし、誰も気にしなかった。

僕の…

「信号はもう変わってますよ。とっくに青ですよ。お嬢さん」

噂をすれば影。

「ねね、何か考え事?お姉さんに話してみなさい?」

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