キツネの仲介屋
ある長屋に おときさんと げんたという
親子が住んでおりました
亭主は6年前に亡くなっておりまして
女手一つで6才になる息子のげんたを育てておりました
ある日げんたが町内を歩いていますと 物陰から手招きするものがいる 行ってみますと
そこには笠をくわえたキツネが一匹
キツネ「ぼん…ぼんにお願いがございます
町外れのお地蔵さんに この笠をつけてあげてくれませんか?」
げんた「どうしたん?そんな泥だらけで
脚から血も出てるし 大丈夫か?」
キツネ「いやいや私のことはかまいません
どうかどうかこの笠を町外れのお地蔵さんに私の代わりにつけてきてほしいんです」
げんた「いや つけてあげるのは かまへんけど なんでそんなことしてんの?」
キツネ「はい 私はご覧の通り キツネでございますが 困った人からの悩みや相談 依頼を受けて 私のできることならばと 人助けをなりわいにしております」
げんた「へぇ キツネのくせに変わった事
してるなぁ 日本語も達者で…」
キツネ「はい これは神様との約束で
前世でお世話になった人に恩返しがしたいと 願い出ましたところ
神様がこころよく聞いてくださり
言葉と変化の術をいただきました」
げんた「へぇ 神様も粋なことをしょるな」
キツネ「はい それで私ができることは
私がやるのですが どうしても専門的な技術や知識がいるときは
それをできそうな人を見つけて 依頼をしております」
げんた「へぇ それで この笠を お地蔵さ
んに 笠つけるのに専門知識は要らんと思うけどなぁ」
キツネ「はい その通りでございます
笠をお地蔵さんに着けるだけですので ぼんにもできそうと思い
お声をかけさせていただきました 実は先ほど私がつけに行ったところ
お地蔵さんの横の屋敷には大きな土佐犬がおりまして
私を見た途端 繋いでいた紐を自ら食いちぎり
私めがけて烈火のごとくガバーと 飛びかかってきおりまして
二度三度鋭い爪で引っかかれましたが 床下に逃げ裏から屋根にのぼり
瓦づたいに命からがら ここまで逃げてまいりました
この笠はこの街道の逆の端のご隠居さんの依頼でして
毎月お地蔵さんの笠を取り替えて
旅人の道中の安全祈願をされておりましたが
ご隠居さんは最近 体を壊されまして
自分では歩いては行けないご様子でしたので
私が代わって笠をつけに行く依頼を承った次第で…」
げんた「そうなんやよっしゃ分かった
僕が代わりにお地蔵さんに笠をつけて来てあげるわ
あんたはここでまっとき」
そう言ってキツネから笠を預かりますと
お地蔵さんの所までやってまいりました
なるほどお地蔵さんの横の屋敷には大きな
土佐犬が飼われておりましたが
躾が良いのか 人間には襲いかかるそぶりも
無く げんたは あっさりと お地蔵さんに
笠をつけてキツネのところに帰ってまいりま
した
げんた「キツネ 帰ってきたで」
キツネ「あら お早いお帰りで
大丈夫でしたか?土佐犬は?
お留守でした?」
げんた「いや おったで でもこっちを
チラッと見ただけで 吠えもせなんだ 笠も飛ばんように
ちゃんとくくってきたから安心して」
キツネ「そうですか それは助かりました それではぼんにはこれを」
そう言って キツネはげんたに五十銭を差し出して
キツネ「これは今回のお駄賃でございます
お納めください」
げんた「え?こんなにもろてええの」
キツネ「はい それは私がご隠居さんから
いただいたお金なんです
何の心配も要りません
持って帰ったらその札が葉っぱになってしまうとか
タヌキが化けてるわけでもないので
どちらに折り曲げてもらっても構いません」
げんた「タヌキ?」
キツネ「いえいえ たとえ話でございます
まぁ 分かる人には分かる話で
それよりも ぼんに ちょっと
お願いがございます
今日出会ったのも何かの縁
どうでしょう この町での依頼もたくさんございまして
私一匹ではとても手が回りません
もし良かったら私の仕事を手伝って頂けないでしょうか
もちろん報酬は お支払い致します 暇なときで構いません
私が頼まれた依頼を持ってきますので その中から
ぼんができることだけ選んでもらったらいいですのでどうか?
お手伝いをして頂けませんでしょうか?」
げんた「ええょ どうせ毎日ひまやし」
キツネ「ありがとうございます では
明日 いくつか依頼書をお持ち致します
そうですね 場所は 一心寺の寺の裏あたりで
待ち合わせとか いかがでしょうか?」
げんた「一心寺?いいけど寺の裏は やめといた方がええなぁ
いや裏には 大きな穴があってな
そこから出てくるキツネを ひっ捕まえて
黒焼き屋に売りに行くおっさんがおるんよ
気いつけなあかん まぁ黒焼き屋が 何屋かわからんけどな」
キツネ「そうですか それはいい話を聞きました
では寺の前側の石段のところで 昼前にお待ちしております
あぁそうそうこのことは他言無用で
お願い致します それでは 失礼…」
と言うが早いかキツネはドロンと煙に巻かれて姿を消してしまいました
げんた「わ!びっくりした そんな消え方
ありかいな 年寄りなら心臓止まっとるで…
あっ しもた 名前聞くの忘れたなぁ
キツネに名前ってあるんかな?
まあえぇか 明日 寺に行けば会えるやろうし」
そんなことを言いながら げんたは家に
帰ってまいりました
げんた「かぁちゃんただいま~」
おとき「あら遅かったやないの
何してたん?」
げんた「ちょっと腹減らすための散歩~」
おとき「なにゆうてんの ちゃんと足洗って上がっておいで
ご飯できてるさかい
ちょっとまってげんた?
その手に持っているのは何?」
げんた「あっ しもた…
いやなんでもない なんでもない」
おとき「なんでもないことはない
それお金とちゃうの?
ちょっと見せてみ…これ‼
見せて…見せろってゆうてるやろ‼」
げんた「はい~‼」
おとき「どうしたのこれ…
五十銭札やないの なんであんたが こんな大金持ってるの?」
げんた「ええっと …あの…それ…
お駄賃やってくれた人…やなくて一匹…いやキツ…いや…
あっ!知らん人がくれてん」
おとき「なんで知らん人が五十銭もくれたりするの‼
ちゃんと言いなさい‼言わないと げんのうで ぶつよ!」
げんた「知らないキツネからもらったんだい」
おとき「キツネ?変わった名前の人やね?
まぁええわ これは私が預かっときます」
げんた「あぁ…そんな殺生な」
あっさり五十銭を取り上げられた
げんたはすねて その日は早めに寝てしまいます
翌朝 キツネとの待ち合わせよりも早い時間に
げんたはお寺に行って 石段のところに 座ってますと
ひょろっと背の高い男が現れて
男 「坊や ひとりかい?」
げんた「いや おとぉちゃんと一緒や」
男 「え? どう見ても一人やけど?
お…おとぉちゃんはどこ?」
げんた「その大きな墓の三つ隣に漬物石に
墨で書いた名前の墓があるやろ
それがおとぉちゃんや」
男 「へ~ あれが…」
げんた「横にあるような立派な墓も作られへんし
石に名前を彫ることもできへんから 時々きて雨で消えた
おとぉちゃんの名前書き直してんねん」
男 「へぇ~ それはそれは…」
げんた「そんなことより
お前 昨日のキツネやろ?」
男 「ええ? わかる?」
げんた「わからいでか‼シッポ見えてるし
顔にヒゲまで生えてるし」
男 「尻尾はともかくヒゲぐらい
生やしてもいいでしょう」
げんた「普通のヒゲならともかく
鼻の横に三本ずつ生えてるような人間なんておらんわ‼
それにそのニオイ 昨日のキツネと一緒や‼
なんかもうキツネのニオイとウンコと泥と得体の知れん匂いとが
こうまぜまぜ こぜこぜ まぜまぜ こぜこぜ
こう絡み合って豆腐の腐ったような匂いやで
お前が通った後はあれ?
あいつ ここ通ったな?
ってわかるようなニオイ」
男 「どんなニオイですか~」
げんた「こんなニオイや」
男 「やめてくださいよ
ちゃんとお風呂入ってきましたから」
げんた「そぉ?でも におうよ
何このニオイ…朝から人 食った?」
男 「食べませんよ」
げんた「冗談 冗談 でもそのヒゲは抜いた方がいいなぁ」
男 「だめですよ ヒゲがないと 能力が使えなくなっちゃいますから」
げんた「じゃ…じゃ~ほっかむりとかできへんの?
手ぬぐいとかで顔隠してこう」
男 「こ…こうですか?」
げんた「あっあ~まぁまぁ それやったら
キツネにはみえへんかなぁ?…
よっしゃ ほな仕事の話しようか」
男 「はい では今きてる依頼を読み上げますので
できそうなのがありましたら おっしゃってくださいね
まず 赤い花を探してくれって言う依頼です
なんでも 山で出会った大蛇が人を飲み込んで
大きくなった腹を へこますために 赤い花を食べたところ
スッとした体型に戻ったらしいんです
その花の名前が蛇含草 この花を食べると
何杯でも蕎麦が食えるだろうから
探して欲しいという依頼です
依頼者の名前は清兵衛さんという蕎麦の大食いで
お金をもらっている人みたいですね」
げんた「そんな花があるんやなぁ
そういえば町内のおっちゃんも
青い彼岸花を探してるって言うとったなぁ」
男 「次は この町内に えらい長い名前
の寿限無って子がいる
その子を朝 迎えに行って
一緒に学校に行ってあげてほしいという依頼
次は真夏にミカンを探して欲しいと いう依頼
芝の浜でなくした財布を見つけて欲しい
いきのいい秋刀魚を百匹ほど届けてほしい
目黒のお百姓さんからの依頼」
げんた「なんでそんなに秋刀魚を?」
男 「どうやら お殿さまが時々鷹狩りに来るようでして
去年は隣の家に ご家来衆が来て 焼いてた秋刀魚を
えらい高い値段で買ってくれたそうです」
げんた「ははぁ~ん 二匹目のドジョウ狙いやな?」
男 「いいえ秋刀魚です
続きまして
一文だまして うどんを食った犯人を見つけて欲しい
うどん屋さんからの依頼
どんな猫でもいいから一匹捕まえて
持ってきてほしい
四国の茶店のご主人からの依頼」
げんた「四国は無理やろ…」
男 「そうですよね なんでこんなのが
入ってたんでしょう?」
わぁわぁゆうておりますと
おとき「げんた?げんた?そこに居るのは
げんたやないの?」
げんた「あっ おかぁちゃん」
おとき「げんたこんなところで何してんの?
もうすぐお昼やからはよ帰っておいでげんた?
そちらのお方はどなた?」
げんた「こいつは昨日話したキツネ」
おとき「これ! 人をこいつってなんですか‼」
男 「いやいや いいんですよ どうも初めまして
げんたさんには お世話になっております
このあたりで 仲介屋をやっております
えっと… こ…コン太と申します
みんなからは キツネと呼ばれております」
おとき「あっ…あなたが昨日の五十銭の?
あれは どういうお金ですか?」
男 「あれば私が怪我を致しまして
たまたま通りかかった げんたさんに助けていただいた お礼なんです」
おとき「まぁ そうやったんですか
こちらこそ あんなにたくさん ありがとうございました
で…今日は何を?」
男 「はい げんたさんに
お仕事を お手伝いいただこうかと思いまして」
おとき「仕事って うちの子まだ六歳ですよ
仕事なんて無理無理」
男 「そうですよね」
げんた「大丈夫やって…猫一匹捕まえたりするだけやから
それよりなんで おかぁちゃんはここに来たん?」
おとき「今日は おとぉちゃんの月命日やからねぇ」
男 「そうですか…ご主人の…」
おとき「はい お墓は…この正面の
大きなやつで…」
げんた「おかぁちゃん 見栄はったらあかんで
もう墓のことは話してある
その漬物石が おとぉちゃんの墓や
嘘ついたら後が大変やから 今のうちに
訂正させてもらいます」
おとき「いやぁ~もう お恥ずかしい
うちの亭主は大工やったんです
腕は良かったんですよ
でも気前が良すぎて手間賃を取ったり
取らんかったり半額にしたりで
あんまりお金を残せなかったんで
お墓もこんなことになってしもうて…」
男 「そうですか…それは…ご苦労されましたね」
おとき「げんたが生まれる少し前に
日頃の疲れがたまっていたのか
仕事中に屋根から落ちて… そのまま…
だからげんたは 父親がどんな顔だったか知りません」
男 「そうですか…おかわいそうに…」
おとき「いえ こちらもこんな話をするつもりはなかったんですけどね
つい…
どうか今後とも げんたと仲良くしてやってくださいね
危ない事と悪い事以外なら 何をしても構いませんので
まだこの子は小さいけど 父親似なのか器用なところがありましてね
きっと お役に立つこともあるんじゃないかと思いますんで」
男 「そうですか わかりました
危ない事はさせませんので
ご安心ください」
おとき「よろしくお願いいたします」
と頭を下げたあと おときさんは
旦那の墓に線香を立てて
手を合わせたあと げんたに
おとき「ご飯作って待ってるからね」
そう言ってから 男に軽く会釈をして
家に帰って行きました
ぼーっと見つめるキツネに
げんた「あかんで~やめとき~」
男 「なに言うてるんですか!
た…ただ見送ってただけですよ~
それより依頼はどれにします?」
げんた「ネコは郵便で送られへんからなぁ
それ以外のやつは なんかできそうな気がする」
翌日から依頼をこなしまして
寿限無を呼んでる間に夏休みになってしまったり
みかんのことを 氷屋に聞いてみますと
冬のみかんを凍らせてるのがあると言うのでそれを安く買い
それを千両で…と言いたいところですが
良心的な お値段で売ってあげたり
うどんを一文誤魔化したやつは 人相書きを作りまして
各うどん屋に指名手配書を貼り出すと
のこのこ現れた犯人を捕まえることができました
なかなか頭の切れる子で評判が評判を呼び依頼がどんどん増えていきまして
四ヶ月が過ぎた頃
キツネ「なかなか盛況ですね
お父さんのお墓も建て変えることもできましたし
もうすぐあの長屋からも引っ越せるんと違いますか?」
げんた「そうやなぁ… 小さな家なら買えるかもしれんけどなぁ…
そんな贅沢してもなぁ…」
キツネ「どうしました?元気ないですね?
お疲れですか?」
げんた「いや…若いうちに
こんな大金 手にしてえぇもんかなぁって思ってなぁ」
キツネ「そうですね まだ六歳ですもんね
どうします?依頼まだまだありますけど」
げんた「困ってる人を助けるのは
やめたらあかんと思うから続けよう」
キツネ「わかりました じゃ~続けましょうでは一つ目の依頼です
旦那がどんな夢を見ていたのか聞き出して欲しいという
おかみさんからの依頼
次は 明日 休みたいので皿を九枚持ってきて欲しい
お菊さんからの依頼
葛根湯を納品して欲しいと お医者様からの依頼
木仏を売ってくれたクズ屋を見つけて欲しい高木様からのご依頼
最後は商家の旦那さんからの依頼で
店の階段が滑りやすいので何とかしてほしい
こないだも丁稚の定吉が滑って落ちた」
げんた「一番上から?」
キツネ「いや…七段目から」
その依頼を片っ端から引き受けまして
次々と依頼を解決して行きます
ある日 仕事を終えて家に帰ってくると
母親が縫い物をしておりました
げんた「かぁちゃんただいま~」
おとき「おかえりげんた外は寒かったやろう
ちょっと こっちおいで この着物着てみ~」
げんた「新しい着物?
そんな贅沢せんでもえぇのに」
おとき「新品ちゃうよ
これは おとぉちゃんの着てた着物を
糸ほどいて あんた用に縫い直したんや
ほら丈もちょうどいい 測ったみたいに似合ってるわ」
げんた「子供の着物は ここで はしょってるから
ピッタリになるんは あたり前やん」
おとき「なんか言うた?」
げんた「いや何も…でもいいなぁ~
これ気に入ったわ
おかぁちゃんありがとう」
おとき「どういたしまして」
げんた「でもなぁ~ おかぁちゃん
なんかこの着物 得体の知れんニオイがするで?」
おとき「得体の知れんニオイ?……
あ~これはタンスの匂いと
おとぉちゃんの吸ってたタバコの臭いや
まぁ体臭みたいなもんやな」
げんた「そっか これが…
おとぉちゃんの匂いか」
げんたは次の日も その次の日も
キツネの持ってきた依頼を次々と
こなして行きました
そしてその年の年末のこと
げんたはキツネに呼び出されて
寺の石段に座っておりますと
キツネ「こんばんは」
げんた「あっ キツネ~
どないしたん 今日は人間に化けてないの?
依頼書を持ってきた?」
キツネ「はい…依頼は一件あります…
徳川家からいただいた家宝の
お神酒徳利が見つからないので
探して欲しいと 刈豆屋のご主人からの依頼…はあるけど…
きっとこれはすぐに見つかると思うので
今日はいいです…
そんなことより…」
げんた「そんな事より 人を呼び出す時に
長屋の掲示板にXYZって書くのは
やめてくれる?あれはなんか違うと思うねん」
キツネ「…やっぱり?
あれしたらカッコえぇかと思ってましたけど
無理かぁ 無理ならしゃ~ない
いやいや…そんなことより
げんた「なに? どうしたん?」
キツネ「このかんざしを おときさんに
届けていただきたいのです」
げんた「ははぁ~ん
おまえ…かぁちゃんに惚れたな?」
キツネ「え?」
げんた「気持ちはわかるけど やめとき
だってお前はキツネやで…
狐と狸…いや人間と釣り合いが取れるわけがない
しかもこんなコブつき
悪いことは言わへん やめとき」
キツネ「いえ結婚したいとか 再婚したいとか
一緒に暮らしたいとか
そんなことを言ってるのではございません
実は…お二人とは 今日限りに
逢えなくなってしまいます」
げんた「え?え? どうしたん?
なんかあったん?」
キツネ「はい わたくしは…
神様との約束で遠いところに行かねばなりません」
げんた「神様との約束?遠いところに?」
キツネ「はい ですので あなたを産んでくれて
立派に育ててくれた…これまでの感謝を込めて
このかんざしを おときさんに受け取っていただきたいのです」
げんた「…自分で渡したらええやん」
キツネ「いいえ もう時間がございません
変化の術も使えなくなりました
それから…これは今までの
依頼で儲けた私の取り分です
これも差し上げます」
げんた「なんで?つこたらえぇやん」
キツネ「いいえ もう…」
げんた「そうなん?えぇ?こんなにたくさんえぇのに…
そうそう さっきな 近所の宿屋の
おっちゃんから 高津神社の富札をこうてん
最後の一枚や~ゆってたから 買うてしもてんけどな
なんか当たる気がすんねん 見て
子の1365番 当たりそうやろ
どう?
ん?どうしたん?
ほれ見て子の1365番
当たったら みんなで なんか食べに行こな?」
キツネ「コン」
そう言って狐は振り返りもせず
森の奥深くへと帰っていきました
げんた「あぁ…行ってしもた
なに?最後のコンって?
狐みたいに…
こんなに 沢山くれて…
ありがとうな キツネ
ありがとう・・・
気付いてたで
ありがと・・・おとぉちゃん」
完