手紙
浅い夜に
星々は青白く光る
忘れかけていた呼吸を
確かめるように吐いた息
乾いた風にさらわれて行く
褪せたモクマオウの木が
闇に煙る霧のように立つ
本当は影の中で燃えているのだろうか
書き留めた感情の切れ端を飲み込めば
また違う名のしこりとなり沈む
鳩尾に抱えた痛みとともに
消えていく空の色をみる
封切られた思い出は
時系列もぞんざいに
繋ぎ合わせたフィルム
逸れてきた道々の果てに
映し出される
星がひとつつめたく私を見下ろしている
宛先のない手紙のように
とりとめもなく日々を綴る
いつかこの先に
影の中で燃えている
モクマオウをみることもあるだろうか
空に指先で自署を描く
眠らない蝶が
花びらが落ちるように飛んでいる
苦しみながら生きていこうと思う




