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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十章 ファンガール???
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落下物

「流さーん!!今日…」

「断る」

その日の授業が終了するなり話しかけて来た由香里に対し、流は食い気味に言った。

「ちょっ…!まだ何も言ってないじゃないですか!」

「どうせ君のことだ、一緒に帰れとか、家に来いとか言うんだろ?」

流は淡々とそう言うと、スクールバッグを肩にかけて、せかせかと教室を出た。由香里は執念深く彼の後を追って来た。

「まあ、そうなんですけど…。兄さんも久しぶりに流さんに会いたいって言ってましたよ?」

「余計行きたくなくなったよ」

由香里は突然、ハッとした表情を浮かべると、わなわなと震えながら言った。

「あっ!ま、まさか…あの人と一緒に帰るからですか…!?」

「なに?あの人ってどの人だよ」

「流さんの浮気者ォ〜!!」

困惑する流をよそに、由香里は泣きべそをかきながら廊下を走り去って行った。

「何だ、アイツは…?」




その後、コンビニで買い物を終え、家に向かっていた流は、ふいに後ろから呼び止められ、その足を止めた。

「あれぇ?奇遇だね、こんなところでぇ」

振り返ると、知らぬ間に荒井奈美が彼のすぐ側に佇んでいた。

相変わらず神出鬼没な奴である。

…クソッ、ある意味変異者よりたちの悪いのが現れたな。

流はゲンナリした表情で、彼女をシカトして歩くのを再開した。

「ちょっと無視しないでよぉ。そういえば…今日は彼女さんと一緒に帰らないの?」

「妙な勘違いはやめてくれ。彼女は僕の恋人でも友達でもなんでもない、懐かれてこっちも迷惑してるんだ」

「へぇ、そうなんだぁ。よかったら私が消し…なんとかしてあげよっかぁ?」

「消すな」

背後で彼女の無邪気且つ、邪悪な笑い声が聞こえた。

「ジョークだってば。ねぇ、そろそろ変身してるとこ見せてくれない?誰かに見られたら食べちゃえばいいからさぁ」

「冗談じゃない」

「なんなら私のこと食べても構わないよぉ?あっ、変な意味じゃないからぁ」

「やかましい。そもそも君は奴のどこに惹かれてるんだ?」

益体も無い話をしている間に、彼の住居である安アパートが見えてきた。

流の問いに、奈美は待ってましたと言わんばかりに答えた。

「だって戦ってるとこカッコいいじゃん♪」

「薄っぺらい理由だな…。いいか?奴にどんな幻想を抱いてるのか知らないが、アイツはただのクソ野郎だぜ」

「…クソ野郎でも、誰かのヒーローにはなれるかもよぉ?」

意味ありげな笑みを浮かべる奈美に、流は振り返って苛立たしげに言った。

「…とにかく、改めてハッキリと言わせてもらうが、僕は蛾男じゃ…ゴハアッ」

言い終わる前に、流は彼女に突然蹴り飛ばされ、地面に倒れ込んだ。

「おい、急に何を…!?」

慌てて上体を起こすと、目の前に横たわっている奈美の姿があった。

胸には鳥の羽根のようなものが数本、刺さっていた。

「痛ったぁ…」

流が唖然としていると、背後から耳障りな声が届いてきた。

「ちょっと何邪魔してんのよ、このビチグソ女…!計画が台無しさじゃないの」

声の方を向くと、アパートの屋上で先日のカラス女がこちらを見下ろしていた。

「せっかく待ち伏せまでして、不意打ちしてやろうと思ってたのにさァ」

「………」

流は奈美の方へ首を後ろに向けると、小さく呟いた。

「…少し、待っていてくれ。片付けてくる」

そう宣言すると、彼の肉体がゆっくりと蛾の怪物の姿へと変異を始めた。

「フン、まあいいわ。来なさい、私の可愛い子達!ソイツをズタズタにしてやりな!」

カラス女が招集をかけると、どこからか大量のカラスが現れ、流を取り囲んだ。

その様子はヒッチコックの『鳥』さながらだ。

流はその場で回転すると、広範囲に紫色の鱗粉をお見舞いした。

それを浴びたカラス達は、苦しげな鳴き声を上げて地面に落下すると、みるみるうちに体が溶解を始めた。

「や、役立たず共…!」

カラス女は流に背を向けると、翼を羽ばたかせて見苦しく逃亡をはかった。

「そう何度も逃がすか…」

流はコンビニで買ったばかりの缶コーヒーを取り出すと、カラス女目掛けて投げつけた。見事、それは彼女の身体を貫通した。

「げえええええええ!?」

悲鳴を上げながらどこかに落下していくカラス女を見届けると、流は変身を解いて奈美のそばにしゃがみ込んだ。

「…さっすがぁ〜。良いコントロールだったね」

「いいから喋るな、今から病院に…」

「あ〜いいって。多分もう助からないし?それより…やっぱり君がそうなんでしょ?」

流は少々考えた後、やがて彼女に言った。

「ああ…そうだな、僕が蛾男だ」

「…最後にカッコいいとこ見れてよかったよ」

「……………」

「………ブッ」

「は?」

突然、奈美は何事もなかったかのように立ち上がると、身体に刺さっていた羽根を手で払った。

「は??」

「ドッキリ大成功〜。私がこんなので死ぬと思ったぁ?」

「ま…まさか君も…」

奈美は流に向かってピースサインを作ると、朗らかに言った。

「そう、私も変異者。というわけで、改めてよろしくぅ♪ガー君」

奈美はそう言い残すと、颯爽と去って行った。

「クソッ、まんまと一杯食わされたってワケか…!」

こうして、また新たに頭痛の種が増えた流であった。

 


  

その頃、少し離れた場所で…。

「そんでよ〜2組の奴が今日…ぶげっ」

「うおっ!何だ!?空からコーヒーの缶が…!おい、しっかりしろ山口!」






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