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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第九章 生徒会長兼風紀委員長!!!
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マジモン

「あっ!待ってください!こう見えて俺は怪しいものでは…!」

永木は説得力のカケラもないセリフを吐きながら女を追いかけた。女はますますパニックになりながら、彼を振り切るべく全力で逃走した。

「ぎゃあああ、来んな来んな!」

その時、目の前の四つ角から、先ほどの少年達の親から通報を受けて駆けつけた、頼りなさそうな坊主頭の警官がなんともタイミング良く現れた。女は警官のもとへと駆け寄った。

「どうしましたお姉さん!?」

「助けて!蜘蛛の化け物が!!」

「蜘蛛…!?ゲェッ!!」

警官はホルスターからリボルバーを取り出すと、震える手で銃口を永木へと向けた。

「てっ、手を上げろこの化け物!子供達にイタズラしたとかいうビョーキ野郎はお前だな!?」

永木は言われるがまま両手を頭上に上げると、テンパりながら身の潔白を訴えた。

「えっ!?落ち着いてくださいお巡りさん!そんなことをした覚えは…!」

「止まれ!止まらんと撃つぞぉ!」

警官はそう叫びながら発砲した。銃弾は永木の頭部を逸れて、後方の闇へと消えた。

「危なっ…!クソ!やむを得ん!」

永木は警官の顔面に糸の塊を発射して、彼の視界を一次的に遮断した。

「うわあ!前が見えないぃ!!」

半狂乱になった警官は、奇声を上げながら無闇矢鱈に拳銃を発砲した。そのうちの1発は跳弾すると、見事に女の眉間に命中した。

「ぼッ」

女は地面に倒れ込むと、ピクリとも動かなくなった。

「なんてこった…!もうメチャクチャだ…!」

永木は頭を抱えてそう呟くと、女の死体と無能警官を残して、その場を逃げるように立ち去った。




数分後、永木は尚も漫然と流の捜索を続けていた。いまだ足取りがつかめない彼に、永木は苛立ちを隠せない様子だった。

「蛾男め、一体どこに隠れた…!」

その頭上で、屋根の上から彼を見下ろしてる1人の人物がいた。言わずもがな、水野流である。

彼は永木目掛けて、屋根から音もなくムササビのように飛びかかった。

「ハッ!?」

天才的な勘でそれを感知した永木は、ローリングして流の奇襲を回避すると、すかさず手から網状の糸を発射して、彼を捕縛することに成功した。

「何っ…!?」

「フハハハハ!遂に捕らえたぞ!やはり蛾が蜘蛛に敵うワケがないのだ〜!」

絶体絶命の状況の中、流は思考を巡らせた。

クソッ、これじゃナイフも取り出せないな…。アレをやるしかないか…。

思い出さなくちゃな、あの日のことを。あの時の感情を。

「さて、このまま袋叩きにして…」

永木が勝利を確信した瞬間、流を覆い包んでいた糸のネットが、一瞬にしてバラバラになった。

それと同時に、中からカマキリのような姿をした怪人が飛び出して来た。

「にゃにぃ〜!?別形態だとぉ〜!?」

流はそのまま、動揺して隙だらけの永木の懐へ突っ込むと、右手の鎌による攻撃を加えようとした。

だが、どういう訳か、彼にはそれが出来なかった。

流は逆に手痛い一撃をお見舞いされ、吹っ飛んで地面に倒れ込むと、その瞬間、変身が解除された。

永木はその様子を、不思議そうにじっと眺めながら、淡々とした口調で呟いた。

「今…躊躇したな。何故だ?」

流は地面に大の字で横たわったまま、夜空を仰ぎながら答えた。

「さぁ、何でだろうな?今…考え中だ。そういう君こそ、さっきから僕を本気で殺しにかかってるようには見えないがな」

「……………」

「どうした?トドメをさすなら今だぜ」

永木は糸を発射するべく、彼に指を向けたが、すぐにその手を下ろした。

「いや…やはり違うな。根拠はないが、君はあの蛾男ではない。俺は君の方を信じることにするよ、蝶男を信じるようにな」

そう言うと、彼は流の方へ歩み寄り、右手を伸ばして来た。

「立ってくれ。この前の分も含めて、また改めてお詫びをしなくちゃあな」

「………」

流がその手を掴もうとした途端、永木の全身が粉々になった。

「…は?」

何かの気配に上を見上げると、三日月をバックに、二対の羽根と二つの触角を持つ、不気味な赤い目をした、おどろおどろしいオーラを放つ怪人が、羽ばたきながらこちらを見下ろしていた。

そいつは尻をかきながら、夜の闇の中に溶け込むようにスッと消えて行った。

流は呆然としながら、小さく独りごちた。

「蛾男…」


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