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第4章 鑑定にかけてもミステリアスな男

番号が呼ばれた先にいたのは、知った顔だった。


「あら、ミリアちゃんお久しぶりだね!元気?そちらの方は?」


ギルド職員である私の友人シシーが私たちに声を掛けた。ショートボブの髪型で眼鏡を掛けている彼女は、大人しそうに見えているけど、実はドがつくほど噂好き。


私たちを見て、その眼鏡がキラーンと光ったぞ。ゴシップ魂燃え燃えじゃん。面倒臭い。


「...昨日、魔の森で拾いました。」


「え、どんな状況?」


面倒臭いけど、ここで彼女に正直に話さないと後で知られたら後ろめたいようなことあるんじゃないかって怪しまれそう。


「...だから、昨日魔の森へ行った時、この子が一人無装備で立っていたの。喋れないみたいだし、記憶もなさそうだから、昨日お家へ連れて帰ったってところ」


「??!!!ミリアちゃんがイケメンお持ち帰り?!!」


「言い方!!」


いったい!なんなのよ!シシー!友人だと思ったキミは私の敵なのか?!周りの視線が突き刺さるぅ!穴があったら入りたいので誰かブラックホール起こしてマジでお願い!


居た堪れなく思わずシシーにゲンコツを喰らわせた。つい本気で殴っちゃったけど、もぉー知らない。


周りの生暖かい視線を感じつつ、本題を切り出した。


「シシー、この子の鑑定をお願い。記憶がなくて、名前もわからない。ギルドの鑑定装置なら所属とか住む場所もわかるでしょう?」


「そうね。ギルドの鑑定装置を使うなら、冒険者登録もしないといけないけど、それでもいい?」


昨日、冒険者登録が必要ってことをイケメンくんに説明したので、すぐに了承してくれた。


「...」コクコク


「それじゃ、鑑定室へ案内しますね」


基本、鑑定は個人情報が関連するので、職員と個別の室で行われる。イケメンくんの希望で私もついてきたけど。いつから保護者になったんだよ。


室の真ん中に白い台座があって、そこに鑑定対象の手を置くと鑑定結果パネルが出てくる仕組み。私も冒険者登録した時に同じことをした。


イケメンくんが手を置くと、白い光が集まり、パネルが空中に浮かび上がる。


ーーーーーーーー


 【名 前】 シュ????


 【年 齢】 18


 【称 号】 ?? ?? ???????? 


 【所 属】 なし


 【出 処】 ?????


 【レベル】 12


 【スキル】 言語理解 宝箱察知 睡眠超回復 食事超回復


ーーーーーーーー


「........」


「........」


「........」


私たち3人とも沈黙にシンクロした。


「シシー。これってどういう意味?なんではてなマークがあっちこっち出てくるの?」


「私だって聞きたいよー こういうの、初めて見たかも。」


「しかも、変なスキル名ばかり。宝箱察知はなんとなく分かったけど、睡眠超回復って何?食事超回復?食って寝ればたいていの病気が直る?」


イケメンくんことシュくんかな?目をぱちくりさせながら、謎のスキル欄を指差したり引っ込めたりしている。どうやら本人も心当たりがないらしい。


その後何回か試してみたけど、はてなマークで隠されている文字は出てこなかった。ギルド職員で鋼メンタルのシシーでも、真剣な顔になった。


「ミリアちゃん、ごめん。二人ともちょっと付いてきてくれる?」


どうなってるんだろうと思いながら、ギルドの2階にある応接室へ案内された。ギルドに大事なお客がくる時に使う部屋で、少し贅沢な装飾がされている。


高そうなソファで腰を下ろして待つ。


嫌なこと思い出すので、こんなかしこまった所はあまり好きじゃない。けど、今はガマン。イケメ、じゃないや、”シュ”くんがちょっと心配そうに私を見ている。”シュ”って響きが可愛くて彼にピッタリだと思う。


「シュくん」


「...?」


シュくんは、こてんと頭を傾げた。


「呼んでみたかっただけ」


「...」(ミリア)


シュくんは口を動かしたけど、やっぱり声出なかった。鑑定で異常状態が出なかったから、もしかしたら生まれ付き喋れないかも。今まで色々苦労してきただろうな。


私からみたシュくんは穏やかで素直でいい人だと思う。私が作ったご飯を美味しそうに食べて、感謝の気持ちは言葉で言えないけど、ちゃんと行動や表情でやたらと伝えてくる。私が煌びやかな所が苦手なことみたいに、彼の変な壺破壊癖にもきっと理由がある。


考え事をしながら、思わずジーと彼を見つめる。すると、彼がいたたまれなくなったか、片手で私の目を覆った。うん、君手大きいね。けどなんで?見られても減るもんじゃないだろうに。


おかしくて笑っちゃった。照れてるイケメンって、やっぱ絵になる。


この変な鑑定結果がどうか、彼に悪い影響を与えないように。心の底からそう願った。


ーーー


あれから20分後。


「というわけで、ミリアちゃん。しばらく彼の世話(監視)を頼む。」


話し終わったギルド長にそう言われた。結局一番影響喰らったのは私かよ。はぁ、どうしてこうなった。

お読みいただき、ありがとうございます。

今回は鑑定を中心にお届けしましたが、ギルド長との会話は次回にてじっくり描かせていただきます。

ミリアと“シュくん”の物語はまだ始まったばかり。次回もどうぞよろしくお願いします

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