今日、ちょっと好きになりました!?
この世界にも恋愛リアリティー番組は存在している。
『今日、ちょっと好きになりました。』
主に若い少女たちに人気があり、春の学園編から離婚編まで、そんなきわどい企画が今もなお人気を誇っている秘訣だろう。
そしてなぜか――私も参加しいているのだ……。
「今年も始まりました!今日、ちょっと好きになりました。 ~貴続編 inサンクランド王国。」
気が付けば私は、今日ちょい好きの楽屋にいました。
――なぜ、わたくしが!?それよりも貴族編って、よくOKが出ましたね……。
花音は心底呆れながらも、今は楽屋のお菓子を楽しんでいた。
――ん〜!これがスナック菓子、お菓子なのにしょっぱくて美味しいですわ。
さすが、適応力満点の花音であった。すると
「音羽様。スタンバイお願いします。」花音は緊張しながらも恋愛リアリティーショーへ足を踏み入れた。
「美しい紅い瞳に桜色の髪。まるで童話から飛び出してきたお姫様のようだ!」
司会者の大げさな紹介に顔を赤くさせながら花音は登場した。
――もー!言い過ぎですわ!
「音羽 花音、中等部2年生です。」ペコリトお辞儀をすると花音は周りを見渡した。
まさかのトップバッターだった。
――えー!?
すると「おー!次に現れたのは澄んだ青い瞳に金糸を編んだような金髪。彼こそがthe王子様だ!」
褒めすぎだよと言いながら見慣れた青年が歩いてきた。
「花音!」そう、空音だった……。
「お兄様!?」花音は驚きながらも内心ほっとした。恋愛リアリティーショーに身内はご法度だが、彼こそ花音の本命なのだ。
「音羽 空音。高等部2年生です。」空音は王子様スマイルでいった。
今の笑顔で何人の少女のハートを射貫いたか想像するだけで恐ろしい。
「次は――!?」すると司会者の表情が一瞬で固まった。
どうしたのか、花音は歩いてくる青年に目を向けた。
――!?
「えー……、まさかの方が来てくださいました。赤い瞳に儚げなピンク色の髪。これこそが真のキング!
サンクランド王国第一王子、鳳音 サンクランド様だ!」司会者は興奮気味に言った。
――次は王子かよ……。花音は、新しい恋のドキドキよりこの国の未来が不安になってきた。
ていうか、鳳音こういうところ好きじゃないはず!今にもキレそうな鳳音の顔をみて花音は不安になってきた。
すると「えー、鳳音 サンクランド。中等部2年生。新しい恋に期待しています。」
めっちゃノリノリだ!花音はほっとした。
こうしてほかのメンバーも揃い、本格的に番組が始まった。
「まずは、気になった相手と自由にはなしてみましょう!」
こうして花音たちの新しい恋は幕を開けた。
──?
「──花音さん、僕とお話ししませんか。」