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エッセイ

ナポリタンを見て時代の変化に想いを馳せる

作者: HOT-T

 先日、昭和懐かしメニューとしてウチのホームではナポリタンが出されました。

 あのいかにもイタリアのナポリが発祥っぽい名前の『日本発祥』料理です。


 お年寄りの中には『懐かしいね』と言う方もおり、年配の職員なんかは揃って『おしゃれだよね』って言っていました。


 では、私にとってはどうかというと……いや、別に。なんですね。

 まず、ナポリタンが苦手です。あのケチャップで味付けしたものがどうも、味が濃くて……

 何だろう。運動会のお弁当には入っていた気がする。

 介護で言えばケチャップで服が汚れたりして後が大変だとか余りいいイメージは無いナポリタンです。

 

 また、ナポリタンは喫茶店の味らしいですがそもそも私はランチに喫茶店に行く習慣が無かったです。

 もし喫茶店に行くとしてもモーニングでトーストを食べるだとかそれくらい。

 ランチを食べる場所という発想はありませんでした。

 何か冷凍食品であるじゃん!って感じですね。

 これも所謂『時代の変化』なのかなぁと思いました。

 

 私が男性という事も関係しているかもしれません。

 自分が稼いだお金でランチに行くと大抵王将とかのサービスランチになります。

 みんなでワイワイ食べるのではなく安くてかつお腹が膨れる。それがランチなんですね。


 そう考えると面白い。

 私がさらに歳を取った時、いえ、既にそれは起きているかもしれません。

 自分にとって懐かしい想い出の味が『えっ、そんなの外で食べるの?』とか言われる時代が来るのかもしれません。


 若い頃との違いで顕著なのは例えばわざわざ店まで行かなくてもウーバーイーツなど配達で食べることが出来る、とかでしょうか?

 昔は出前とか言ってその店の店員さんが持ってきていましたが今ではその辺の知らない人とかが持ってくるんですよ。

 多分、これ20年前くらいにタイプスリップしてこんな事があるって言ったら『嘘だぁ』とか言われそうですよね。


 そう言えば私は子どもの頃、1か月に1度くらい連れて行ってもらった屋台のラーメンが好きでした。

 寒い中、温かいラーメンをすするのは凄く美味しいものを食べているような感覚を私に与えてくれていました。

 今では見ないですよね、屋台のラーメン。


 過去は当たり前だったものがいつの間にかなくなっていき、やがてそれが当たり前になる。

 ふとした時に会話の中とかで蘇っていくんですね。


 例えば動画を観ようと思ったらビデオ屋へレンタルに行ってあの分厚いビデオテープを借りてきていました。今や、ビデオテープなんか再生機材を見つけるのが大変です。

 携帯電話なんかなかったので待ち合わせが大変でした。

 今や『お前どこにおる!?』とラインしたら大抵解決です。

 何なら携帯電話で地図を見ながら場所を探せます。

 ゲームはドットから美麗なグラフィックになっています。

 

 私達の価値観などは時代とともに変化していきます。

 次の十年、今度はどんな価値観が生まれ、何が過去の遺産になって行くのか。

 楽しみな限りです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 写真を撮りに観光地へ⇒自宅で好きな背景を合成 自撮りやダンス動画を投稿⇒メタバでライブ 美味しいものをたくさん食べる⇒脳に美味しい情報を直接接種 うわぁ、未来怖い
[良い点] エッセイ拝読しました。 私もどちらかというとナポリタンより他のスパゲティが好み…というタイプです。 自分には当たり前だったものが古くなっていくのを見るのは寂しいですが、 確かに楽しい感じ…
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