表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/94

犯人 【?視点】

 本来なら、ディーン令嬢はルビー宮殿の貴賓室に寝かされるはずだった。医者もルビー宮殿から遠い宮殿医の医局に控えている老医師が呼ばれ、その間は、ルビー宮のメイドが世話をするのが一般的なのだ。老医師がルビー宮の貴賓室へくるには時間を要する。だから、その間に息のかかったメイド達を使い、貴賓室に寝かされているうちに、リネン入れのワゴンに入れて攫う計画だったのに。


 騒ぎを聞きつけたセザール殿下か乗り込んできて、王妃様が口を出す前に、さっさとディーン令嬢をホワイト宮に連れて行くなんて!


 その上、今は犯人探しの為、みんな足止めをされているしまつ。その上、鬼の形相のアールディア国の騎士達に監視されている。セザール殿下の直属の配下なんだろけど、人相が悪くて、近衛騎士みたいに華がなくて正直苦手だわ。


 お茶に薬を仕込んだメイドは、もう、城からでたでしょうし。犯人はみつからないわ。見つかっても、私が犯人だなんて、わからないから大丈夫。見つかったら、マリアンヌ嬢に脅されたと彼女は言う手筈だし。彼女がみつらからないなら、ブロード侯女が一番怪しいと思われるわよね。


 でも、何故お父様はディーン令嬢を攫ってこいなんて言うのかしら?あんな女、攫うじゃなくて、殺しちゃえば良かったのに。家にだれか、身分の高い人を隠しているみたいだし...。貴賓室に近づいただけで、酷く怒られたわ。いったい、誰がいらっしゃるのかしら?


「他の方々のカップからは、薬物の反応はありません。お菓子類も同様です。ディーン令嬢が口にされたカップから、睡眠薬に使われる成分が見つかりました」


 若い軍医が菓子、お茶を確認し、王妃へ報告した。


「取り敢えず、毒の類でなかっただけよしとしましょう。お茶会に関わった使用人達を調べて。取り敢えず、皆、控室へ移動して一人ずつ監査室長と話をしてから、帰って頂戴。私のお茶会でこんな不手際が起きたことをお詫びするわ」


 頭を抱える王妃をブルボーヌ婦人が支えている。


「ディーン令嬢を眠らせて、何をするつもりだったのかしら?」


「そう言えば、ディーン令嬢も枯れ草色の髪ですわ」


「なら、ディーン令嬢もあの連続殺人犯に狙われていたのかしら?恐ろしい」


「連続殺人犯って?どんな事件ですの?」


 気になって、話をしていた伯爵令嬢達に尋ねた。


「実は、枯れ草色の髪の令嬢を狙った犯罪が起こっていまして、皆、空き家のベッドの上で、頭部を切り落とされ、膚を剥いだ状態で見つかっておりますの。持ち去られているのは、その頭部の膚のみと言う話ですわ。怖い話ですわよね」


 壊れそうなくらい心臓が激しく脈打つ。


「他に、わかっていることはございますの?例えば、犯人の目星がついているとか?」


「犯人は貴族じゃないかと言われいますの。ただ、攫われた際の目撃者がいないんですの」


「貴族...。いつ頃から、その事件が始まったのかしら」


 鼓動がさらに激しくなった。嫌な予感がする。


「約、一月前ぐらいに、最初の被害者が出たのかしら?」


 一月前...。嗚呼、なんてこと、お父様が不審な動きをはじめられた頃じゃない。そして、誰か隠してらっしゃる気配を感じ始めた頃。


 背中を嫌な汗が伝う。


「大丈夫ですか?」


 教えてくれた令嬢が心配そうに、除き込んでくる。側にいた別の令嬢が、人を侍女を呼んでくれたようだ。私を支えられるようにしながら、貴賓室のベッドで休むか聞いて来た。


「早く帰りたいの、馬車へ連れてくれる」


 ふらふらとしながら、馬車に乗り込み屋敷へ帰ると、また、敷地の隅にある棟の煙突からもくもくと煙がたち登っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ