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ブルボーヌ家のパーティー 3

 カーテンの隙間から入ってくる柔らかな日差しを感じ、ツェツェリアは目を覚ました。


 よく寝た。スッキリしたし、気分も良いわ。流石、豪華客船のベッドね、抜群の寝心地だわ。


 身体を起こし、カーテンを開けて朝日を浴びると、ツェツェリアはふと横のベッドが膨らんでいることに気が付いた。


 ん?誰か寝てる?セザール様!


 悲鳴をあげそうになり、それを無理矢理我慢する。横のベッドにはセザールが眠っていた。ツェツェリアはセザールを起こさないように、細心の注意を払いゆっくりとベッドから降りると、急いで身支度を整える。


 何で横のベッドに寝てらっしゃるのよ!昨日、あの後、別のキャビンへ行かれたんじゃないの?


「ん」


 小さな声が聞こえて、セザールがもぞりと動いた。ツェツェリアはビクッと身体を震わせる。


 起きた?


 のっそりと起き上がるセザールにツェツェリアは、声にならない悲鳴を上げだ。


「※$£ー!!!」


 何で上半身ハダカなのよ!!!


「どうした?朝から元気だな。もう、体調はいいのか?」


 固まっているツェツェリアを気にする様子もなく、セザールはそのままバスルーム室へと消えて行った。ツェツェリアはへなへなとその場に座り込む。


 心臓に悪いわ。


 ブルボーヌ公爵夫人が貸して下さった侍女とメイド達に手伝って貰い。帰り支度を整え、バタバタと船がを降りると、馬車の前で心配そうな顔のカロが待っていた。


「ブルボーヌ公爵夫人から手紙を貰って心配ておりました。ディーン令嬢、お身体は大丈夫ですか?王妃様には髪飾りのこと、伝えてありますので心配なさらないで下さい。主、詳しいことは車内で」


 馬車が走り出すと、カロは流れるように喋り出した。


「お嬢様を突き落としたブロード侯爵令嬢ですが、昨日はそのまま家にお帰りになったようです」


 ターシャ嬢はブロード侯爵家の方だったのね。ブロード侯爵家といえば、保守派の筆頭であり侯爵家ではあるが、公爵家を凌ぐと言われる力を誇っている。その財力は目に見えるものだけでも膨大だ。

 

「ブロード侯爵は何と?」


「ブルボーヌ公爵家にはパーティーでの娘の粗相を詫びる手紙と、多額の賠償金で手を打たれるつもりかと。ディーン令嬢の件は、令嬢が身に付けていた装備具と同等の装備具一式分の賠償を王妃様に提示されると伺いました。後、ディーン子爵家には賠償金として、鉱山を一つお渡しになるようです」


 セザールは苦虫を噛み潰したような顔になる。


「謝罪に出向くつもりすらないとは、なんとも貴族らしい」


 命を脅かされた私には謝罪の言葉すらない。私の命はお金で解決できると思ってるのね。


「はい。謝罪は保守派の方々にとっては、何より屈辱的なことだから…、まあ、ブルボーヌ公爵夫人がそれで手を打てばこの事件は収束!夫人も自分の客船で起こった事故だ大事にするのは避けたいだろ」


 カロの言葉で、ツェツェリアは怒りを鎮める。


 ブロード侯爵令嬢が誤って突き落としたとはいえ、ブルボーヌ公爵家が所有する客船で起こった事故。騒ぎ立てるのは得策ではないわね。私もブルボーヌ公爵夫人の好意を仇で返したくはない。


「ちっ、王妃も実家の醜聞に関わることだ、矛を収めるざる得まい」


 苛立ちも露わに吐き捨てた、セザールの機嫌を逆撫でするようにカロはニンマリと笑う。


「そんなご機嫌の悪い主に、朗報で御座います。ディーン邸を攻撃した犯人が分かりました」


「誰だ?」


 鋭いセザールの声にツェツェリアはすくみあがる。


「蒼蠍です。最近王都を根城にしてる暴漢集団です。金さえ払えばなんだってやる奴等ですよ!」


「ハッ、なら、黒幕が誰かわからないじゃないか!」

 

 セザールがカロを怒鳴るが、カロは何処吹く風だ。


 蒼蠍。直接は関わりはない。いったい誰が依頼したの?恨まれる謂れも、覚えも無いわ。レイが言っていた通り、セザール様絡みと考えるのが良さそうね。ディーン邸に残して来た執事とメイドは大丈夫かしら?目的が私なら、彼らに手を出すことはないとは思うけど…。ご自分の敵なのだから、セザール様が激怒されるのは最もね。


「ソウデスネ。いっそ、蒼蠍の撲滅に力を入るように進言されたらいかがです?」


 呆れたようにカロはセザールを白い目で見た。


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