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第三章

 十年が過ぎ、私は28歳である。素敵な夫と2歳の子供がいて、幸せになることができた。

 しかし、机の引き出しに隠している物がある。それは、送っていないラブレターの束である。

 何でか分からないけど、今日ふとそれらを読み返したくなった。これが大学に入ってから書いた、一通目である。


チャールズへ


 大学に入ってからまだ一週間しか経っていないのに、あなたが恋しいわ。

 私、一体なんであなたを手放してしまったのかしら-私、本当にバカだったわ。私を許して、また付き合ってもらえないかな?


キムより


 このラブレターをなぜ送らなかったかって?私は彼が「いいえ」と言うのが怖かった。

 彼は違う大学に行った。彼は怒っているかもしれない。私のせいで傷ついているかもしれない。違う人と付き合っているかもしれない。

 ローラは優しくしてくれた。私が別れたことを話すと、手話で「それは残念だけど、きっともっといい人を見つけて、きっと今度はあなたからその人に告白できるわ」と言った。

 私はそう言ってもらえてありがたかったが、疑わしくもあった。チャールズよりいい人なんているわけないよ!

 私はローラがいなくなると、たちまち涙を流し、チャールズとの思い出を全部振り返った。私が「もちろん、ぜひ」と答えた時。それから私が「いつ私にキスをしてくれるの?」と聞いた時。それから…私たちの気持ちのすれ違い、報われなかった努力、こんなにも早く失われてしまった愛。私はその時、『もう二度と恋などできないのでは?』と思ったのである。

 私は大学を卒業し、不動産会社で秘書として働き始めた。仕事はとても忙しく、大変だった。私はストレスと苛立ちで、またうつが再発してしまうのではないかと心配した。今度は本格的な精神科的治療を受けることが必要になるのではないかと。でも、ありがたいことにティムが私に優しくしてくれたので、私は救われた。彼は私の仕事を手伝ってくれたり、サポートしてくれたりした。

 私は徐々に前に進む準備ができてきた。また心を開いて、恋をする勇気が湧いてきた。それなので、私は手紙で彼に告白した。ちなみにティムは障害者ではない。彼は私の同僚で、頭良くて優しい人だった。私の書いた手紙はもちろん、ラブレターだった。そこにはこのようなことを書いた。


ティムへ


 いつも手伝ってくれたり優しくしてくれてありがとう。本当は直接言いたいのだけど、私には声がないから手紙で言うね。

 私と付き合ってもらえませんか?


キムより


 ティムは「いいよ」と返事してくれた。私たちは付き合い、結婚し、子供を作った。子供はもう2歳になった。

 チャールズは私に人の愛し方、思いの伝え方を教えてくれた。彼が今どこで何をしているのか分からないけど、素敵な人と出会って、幸せな人生を送っているといいなと思う。これが私がチャールズに書いた最後の送ることのできないラブレターである。


チャールズへ


 私には新しい彼氏ができました。だから、これが私からの最後のラブレターになります。

 手紙を一度も送ったことはないから、返事をもらったこともない。でも、何となくあなたが私のそばにいてくれていたような感じがした。今日という日まで。

 私が言えるのは、「ごめんね」と「ありがとう」だけ。

 高校の最後にふってしまって、本当にごめんなさい。もう何度も書いてきたように、私はあなたを手放してしまってバカだった。

 でも付き合っていた頃にたくさんの勇気と愛を私にくれてありがとう。

 さて、どうやってこの手紙を終わらせよう?私はあんまりひらめく方じゃないの知ってるでしょ。

 普通に「バイバイ」で終わらせようかな。

 バイバイ、チャールズ。あなたの「チャーリー」な笑顔を忘れないわ。体に気をつけて、ずっと幸せでいてね。


キンバリーより


 私のコミュニケーションの手段は限られているけど、私はこのワクワクする素敵な人生をこれからも大切にしていきたい。

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