28話
二人の戦いを目の当たりにした観客達はどよめいていた。
「な、なんだあ!?今のは!?」
「あのイラギが一撃で!?」
「赤い閃光…かっけえ」
「とんでもねえ速さで見えなかったぞ」
「まるで隕石でも落ちてきたみてえな」
「でもいつから上にあったの?」
「一連の流れが速すぎた」
「あの魔法も、あの魔法でさえも計算してたって言うの?」
「全ての属性魔法の精度が高すぎる」
「そんな事できるのか?」
「あり得ない」
誰もが初めて見る状況に驚愕し、理解できずにいた。
「やはり…只者では無いな、彼は」
コイアは呟いた。
(メテオのイメージ、良かったみたいだな)
ルスは氷を火属性魔法で溶かしながら、戦いを振り返っていた。
大方溶かすと、未だ興奮冷めやらぬ観客たちを横目に静かに会場を去る。
そしてラヴィがいる部屋へ駆け足で向かった。
ドアを開けると見張りの仲間は驚いた顔をしていた。
「ラヴィ!!」
隅の方へ行きラヴィの様子を確認する。
眼を瞑って下を向いているが、息はある。
眠っているようだ。
「イラギを倒した。ラヴィの拘束を解いてくれ」
ルスはドロップを見せながら見張りに告げる。
「あ、ああ…」
見張りは素直にそれに従う。
縄も猿ぐつわも解かれたラヴィを背負って、ルスは部屋を出た。
歩いている最中、ラヴィが目を覚ました。
「…ル、ス…?」
小さな声がルスの耳元でする。
かなり弱っているように聞こえた。
「よかった。目が覚めたみたいだね」
「ええ。大丈夫よ、もう歩けるわ」
ルスはラヴィを降ろした。
「…」
彼女は浮かない顔をしている。
「んー、とりあえず何か食べよう!」
ルスは笑顔を向け、ラヴィの手を引いて歩き出した。
「…っ!」
ラヴィは突然の事にドキッとしたが、彼の手を握り返した。
食事をとりながらラヴィは説明をする。
「あの大柄の男に呼び出されたの。ルスにバレずに来いって。従わないなら大事な人に危害を加えるって脅されて。注意しながら行ったけれど…結局捕まってしまったわ」
ラヴィは申し訳なさそうな顔をした。
「ごめんなさい」
「いや仕方ないよラヴィ。それよりも君が無事でよかった」
ルスは心底安堵していた。
「それよりどこか痛んだりする?無理してない?」
「いえ、大丈夫よ。ありがとう」
ラヴィは小さく息を吐いた。
「本当にルスには助けてもらってばかりね」
「いや、僕だってラヴィに助けてもらってばかりだよ」
ルスは笑って返した。
(やっぱり私、強くなりたい。ルスを助けられるくらい)
ラヴィは心の中でそう思った。
そこで改めて自身の空腹を自覚した彼女は、黙々と食事を口に運んだ。
(なんかいつも通り沢山食べるようになったな…最初はあまり食べてなかったし、ラヴィの中で気持ちの整理が出来たならよかった)
ルスはラヴィが食べる様子を温かく見守っていた。
ぐっすり眠った次の日、二人は冒険者ギルドへ向かった。
「おつ~。あ!ラヴィちゃん戻ってきたんだね!」
「ホントだ~」
「ええ、迷惑かけてごめんなさい。今日からまたよろしく」
四人になったルス達はいつもの様にクエストを選び、開始した。
以前と同じブタの魔物討伐クエストに向かう。
今回は二手に分かれ、以前よりも多くの討伐を目標にして動いた。
魔物を見つけ暫くして、難なくクエストを終える。
ルスとラヴィはドロップを回収している最中、他の二人を見ると一足先に休憩しているようだった。
何かを食べながら話している。
ラヴィの視線に気づいたらしいシロルが、カバンを探りながら近づいてきた。
「おつ~。終わった感じ~?」
シロルはラヴィに話しかける。
「ええ、お待たせしたわ」
「おけおけ。あ、ラヴィちゃんこれあげる~。あとルス君にもあげて~?お腹空いてると思うし~」
シロルはカバンから取り出した果実をラヴィに差し出した。
シロル達が食べているものと同様の果実のようであった。
「分かったわ、ありがとう」
ラヴィは受け取り少し離れたルスのもとへ向かう。
「ルス、よかったらこれ食べて」
「ありがとう、いただくよ」
ルスは素直に受け取り、一口齧る。
変に甘い味がした。
そういうものかと思い、ルスは食べ切った。
「そういえば二人はお金貯めてる~?」
シロルがルスとラヴィに尋ねる。
「しているけれど、そんなに貯まってないわね」
「自分の貯金ってほとんど無いかな…最近借りていた分を返したばかりだし」
二人は答えた。
歩いてきたクロルがそれに反応する。
「え?貯金無いの?まじ?…あー、じゃあいいや。ここで倒しちゃっても」
その言葉に驚いたルス達はクロルとシロルを見た。
二人は武器を取り出していた。
次回更新:2/10 5:00以降
勢いで書いたので細かい修正するかも…




