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27話

ルスとイラギは建物の中央にいた。

実技試験と同じく、彼らの上の吹き抜けからは晴れた空が覗いていた。

観衆のざわめきが聞こえる。


「やっとだ…ぶっ飛ばしたくてたまらなかったぜ、てめえをな」


イラギは剣を取り出しながら言う。


「いつでもいいよ」


「はっ!今だけだぜ、余裕かましてられんのはな!!」


イラギは真っ直ぐに突進してくる。

ルスも走って距離を取る。


「おいおい戦う気あんのかあ?」


「…」


ルスは武器も出していなかった。

相手の出方を伺い、力量を測ろうとする。


「攻撃しなきゃ勝つことも無いんだぜ!?知らねえのかあ!?」


イラギは一気に距離を詰め、縦に剣を振る。

ルスはそれを躱した。

剣が地面を抉る。


(見た目通りかなりのパワーの様だ。当たれば致命傷だった)


ルスは更に距離を取った。


杖を取り出し、火の玉を放つ。

イラギはそれを剣で真っ二つに斬った。

どちらもイラギに当たることなく彼の後方に飛んでいく。


「はっ!なんでもねえよこんなもの」


距離があるのを確認し杖を向ける。


(試しては無いけどラヴィに聞いといてよかった)


ルスは呪文を唱える。


「アクア」


杖の先に水の塊が発生し、前のイラギに向かって勢いよく飛ぶ。

イラギは躱しきれず押されるがダメージは少なかった。

イラギの後ろの壁まで水は届き、濡れた地面は一直線を描く。


「なんだあ?水遊びかあ?」


イラギは馬鹿にしたように笑う。


「頭、冷やしてもらおうと思って」


ルスも余裕を持って返した。


「舐めやがって…!」


再びイラギは距離を詰め、ルスは躱し距離を取る。



「おいおいイラギと戦ってるやつ大丈夫か?」

「攻撃も効いてねえし、そもそもイラギのタフさは折り紙付きだ」

「こりゃ時間の問題だろ、結果は目に見えてる」

「賭けはオレの勝ちだな!」

「い、いやホントに払うとは言ってねえからなオレは!」

「ったく、魔法使いが剣士に勝てるわけがねえんだよ」



観客側が話しているのを試験官のコイアも聞いていた。


(確かに常識的に考えれば、今の状況だけ見れば、そう思うことだろう。あの時の私もそう思っていた。だが、負けたのだ)


コイアは真剣に前の戦いを見ていた。

実技試験の時のように火の玉を留めておく素振りはない。


(今回も勝ち筋は分からない。だが彼は諦めていないのだ。あの時も最後には一瞬で…)


ハッとし、吹き抜け部分を見上げるコイア。

空は晴れ、雲が穏やかに流れていた。


「…まさかな」


コイアは呟いた。



ルスは依然攻撃を躱し続けていた。


(イライラするぜ。あいつの大した事ねえ攻撃は食らうが、オレ様の一発も当たらねえ。だが、徐々に壁際の方へに追い込んでる)


イラギはほくそ笑んだ。


「てめえにはぶった斬って!ぶった斬って!ぶった斬った後で、喋らせてやるよ!!息が出来ねえくらいめった刺しにしてやる!!命乞いなら、まともに喋れる今のうちだぜ?」


イラギはルスに言う。


「お気遣いどうも」


ルスはそっけなく返した。


「君も話せるのは今のうちかもよ?」


「減らず口をよお!!」


イラギは力を込めて剣を振る。

ルスはそれを躱し、角度をよく見て呪文を唱えた。


「ウィンド」


杖の先から突風が巻き起こる。


「うおっ!?」


イラギは突風で体が浮き、後方の濡れた壁に激突する。

壁は大きく窪み、ヒビが入った。


「がはっ!!」


打ち付けられたイラギの口から唾が出る。


「アイス」


立て続けに呪文を放つルス。

イラギの方まで伸びた水の跡を辿るように、氷が生えていく。

牙のような太い氷は壁に打ち付けられたままのイラギを取らえ、手足を拘束した。


「くそっ!動けねえ!」


大の字に張り付けられたイラギはダメージを受けた手足を動かそうとするが、氷は厚くびくともしない。


「終わりだ」


ルスは杖を上に向けイラギに向かって振り下ろした。


その瞬間



ヒュンッ



吹き抜けの更に上から何かが落ち、一筋の赤い光を作る。

とてつもない速さのそれはイラギの腹部を直撃した。


「…がっ!!!!!」


壁に更にヒビが入る。

これまで味わったことのないダメージを一度に受けたイラギは直後に意識が飛んだ。

ガクッと首が下がり動かなくなる。



「…ふぅ」


ルスはイラギから出たドロップを拾い上げ、小さく息を吐いた。

その後、静まり返っていた観客席は一気に歓声を上げた。

次回更新:2/10 5:00以降


調子が良ければ今日中

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