15話
「とりあえず夕食が食べられそうで良かった」
「もう、呑気なんだから」
ルスのマイペースっぷりにラヴィは笑う。
「この後はどうする?夕食には少し早いけれど」
「そうだね。僕はジョブチェンジがしたいのと…そういえばラヴィみたいにバッグとか袋とか準備しようと思ったんだ」
「じゃあその順番で行きましょう。私も付き合うわ」
少し嬉しそうにラヴィは言った。
教会に着いた二人。
幸い祭司の手は空いているようだった。
「こんにちは」
「ラヴィにルスか。こんにちは」
「僕のジョブの変更をお願いしたいのですが」
「ほう。希望は何かな?」
「祭司です」
ラヴィは驚く。
「わかった。しかし上位のジョブに変更するには僅かに経験が足りないようだな」
ジョブには剣士や魔法使いなど誰でもなれる基本ジョブと、それらを応用・発展させた応用ジョブ・上級ジョブが存在するらしい。
上位のジョブへの変更には特定の条件を満たす事が必要なようだ。
ルスはアスからの説明でそう理解した。
「今ドロップは持っているかね?」
「はい」
ルスはポケットから二つのドロップを取り出す。
「丁度いいものが二つあるな。この小さい方で十分だ。ドロップは使ったことがあるかね?」
「いいえ」
「では一般的なやり方教えておこう。ドロップの使用は左の手のひらに載せて、内側に浸透させるイメージで押し込むんだ。小さいものだったら握るようにすると良い」
ルスはオオカミのドロップを左手の中心に置き、吸収するイメージを持ちながら握った。
すると左手からエネルギーが入ってくるような感覚があった。
ドロップも消えている。
「おお。なんだか少し強くなった気がします」
未だに何かが自分の身体に入り込む感覚は慣れないが、不快さは無かった。
「うむ。これで祭司へのジョブチェンジも出来るだろう。そこに真っ直ぐ立って目を瞑りなさい。そして深呼吸をしてリラックスだ」
ルスは言われた通りにする。
「よし、大丈夫そうだな。では」
祭司が何かを呟いている。
すると初めてジョブを授かった際と同じく、体全体が塗り替えられるような、説明しがたい感覚に襲われる。
「終わりだ。君のジョブは祭司となった」
ルスは自分の身体を見る。
変わっているところは特になさそうだ。
「ジョブチェンジをしても見た目は変わらないのだ。だが、ちゃんと祭司になっているから安心したまえ」
アスは笑いながらそう言った。
「あと残りのドロップは売ったりせず使うとよいだろう。まあルスならそうすると思うがね」
「ありがとうございます」
「幸運を祈ってるよ」
目的を果たしたルスはラヴィと共に買い物に向かうことにした。
ラヴィにアドバイスを貰いながら、バッグ等必要なものを買い揃える。
バッグは身に着けていても動きやすく、身体から離れる心配が無いほどがっちりと固定できる優れもので、ルスは気に入っていた。
購入したものも全てバッグの中に収納でき、両手を開けられて嬉しい。
「ありがとうラヴィ。おかげでいい買い物が出来たよ」
「喜んでもらえて何よりだわ」
ラヴィもルスの役に立てたことが嬉しかった。
夕食でも食べに行こうかと話しながら店を出るルスとラヴィ。
二人は人通りの多い道の端にあるものを見た。
フードを被った小さなシルエット、それはふらふらしながら少しずつ進んでいる。
小柄かつ猫背ゆえに目立っていない様だったが、その姿は端から見ると心配になるものだった。
そのまま細い路地に入っていく。
「あれって」
「たぶん昼間の」
路地へと駆けていく二人。
躊躇なく路地に入り込む。
「あっ!」
細い路地を入った先に、少女はペタンと座り込んでいた。
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