第6話 契約…?
1歳と3ヶ月を過ぎたルナティアナは今、ハイハイで家を探検していた
(…どこに行っても道なんだけど!って言うか、一体どんだけ広いのさこの家…。)
探検し始めてもう40分が経っている
お屋敷は3階建てで、1階が来客をもてなす為のフロア、2階がエルヴァルト家の私室等があるフロア、3階には2階から吹き抜けになっている図書室、音楽室、使用人の部屋等があるフロアとなっている。
敷地は東京ドームが3つか4つ位入る広さだ
(あ、もうダメ疲れた…)
そんな時、運良くセインハルトが歩いてきた
(よっしゃ、助けてもらお)
「ぱぁーぱ!」
「ルナ?」
「ん!」
ルナティアナは両腕をセインハルトに向けて、抱っこしてのポーズをとった
「ん?ああ、よっと」
(おおおー!視線がすごい高い!)
「楽しいか?」
「あい!」
「そうか。じゃあこのまま少し散歩するか」
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(…この家森なんてあったんだ……)
「この森はな、父様が小さい頃によく屋敷から抜け出して来てた所なんだ」
「ぅえ!」
(次期当主が抜け出してたってそれやばくない!?)
「ははっびっくりしたか?」
「あい…」
「そうだろうな。…あの時は勉強ばっかりで嫌気がさしてたんだ」
(おぉぅなるほど…ん?)
「ぱぁぱ、あえにゃに?」
ルナティアナは前を指さしてセインハルトに問いかけた
「ん?…なんだあれは」
目の前には薄汚れた灰色の塊が転がっていた
「おーして」
「いや、何かわからない間は降ろせない」
「や!だーじょぶあの!」
「だが…」
そんな言い争いをしていると、灰色の塊が動いて喋り始めた
『そこに居るのは誰だ…』
「おはーしできうの?」
『…まさか聞こえるのか?』
「あい」
『まさか我の言葉が分かる者が居るとは…』
(え、普通分からないの?…私やばい?)
「何を話してるんだ?」
(え、嘘でしょ?)
『我は光の聖獣ラジェリイトだ。貴様の名は?上手く話せないなら我に向かって頭の中で話せ。読み取ってやる』
(勝手に話始められたし…)
《…分かった。私の名前はルナティアナ。長いからルナって呼んで》
『了解した。所で唐突だが、我と契約する気はないか?』
《はぇ?契約?何で?あ、ちょっと待って、降ろしてもらうから、その後に理由話して》
『ああ分かった』
「ぱぁぱ、おーして!」
「だから、何かわからない間は降ろせないと言っているだろう」
「あえはせーじゅーさんあにょ!」
「え……は!?」
「だかあおーして!」
「…分かった。だが危険なことになったらすぐにまた抱き上げるからな」
「あい!」
「はぁ…」
セインハルトはルナティアナを降ろす
「あーがとー!」
《これでよし。説明いいよー》
『…我はルナの綺麗な魂と魔力に引かれた。だから契約したいと思った。』
《…それだけ?》
『あぁ。ちなみにルナに対するメリットもちゃんとあるぞ』
《なになに?》
『まず魔力量が増える。操作も上手くなる。後、教会には連れていかれないようにする』
《え、教会?》
『…光属性持ちは大体教会に連れていかれるぞ』
《嘘でしょ!?》
本日二回目の言葉である
『だから、そうならないよう我が教会に威嚇すれば良いのだ』
《契約します、というよりさせてください。連れていかれるのは嫌だ》
『了解した。では、我に手を当ててこう唱えてみよ。光の聖獣ラジェリイト、汝を我の契約聖獣とする』
《〖光の聖獣ラジェリイト、汝を我の契約聖獣とする〗》
そう頭の中で唱えると、ルナティアナとラジェリイトの間から目を開けていられない位の眩しい光がした
「ルナ?!」
(ぅわ!身体からなにか吸い取られて言ってる!?もしかしてこれが魔力とか?)
20秒位でその光は消え、目の前には真っ白で毛並みは物凄く艶々な、さっきとは全然違うラジェリイトが居た
《…何でそんなに綺麗になったの?》
『主のおかげだ。我は長年契約者が居なくてな、500年以上契約していないと、どんどん穢れてきてしまうのだ』
《え、それやばくない?ってか主って何!?》
『契約したからな。…もしかしてご主人様とかの方が良かったか?』
《いや、そのままでいいです……名前はダメなの?》
『主を名前呼びするのは無理だ』
《えぇー、分かったよ…》
「ルナ!大丈夫か!?」
「あい!けーやくしたやけれす!」
「契約…って……え?、えぇぇえええ!?」