ヤブ医者
フラッツを連れて来なかった理由は、マークさんはヘンタイだから。
今生きているのは、マークさんのおかげというか、マークさんに体を売ってお金を稼いでいたからだ。
「マークさん、入るぞ」
マークさんの診療所の特徴として、基本鍵は掛けてない。いつでも子供ウェルカムなのだ。
花柄パジャマ姿のマークさんは、俺を見るなり「何だ、賞味期限切れのエイサルか。帰れ」と言った。
まったく…。「宿舎に女の子が倒れていたんだ。リリーがマークさん連れて来いって…」
マークさんはあからさまに嫌そうな顔で「リリーか…」と言いながら着替え始める。
「で、どんな症状なんだ?」
「俺は商人だぞ、俺にわかるわけない」
「どちらかと言えば、男の子が良いのにな…」
下らないことを言っていると到着してしまうぐらいご近所なのだ。
「リリー連れてきたぞ。あとは頼む…」
「あれ? マークさんは?」
マークさんは廊下のベンチで、フラッツの股間を揉んでいた。
「や、やめろぉ〜っ!! た、立っちゃうよっ!!」
もう、話が進まないじゃないかっ!! マークさんを女の子のまえに引っ張ってくる。
マークさんは、興味がなさそうに、女の子の服のボタンを外すと胸をはだける。
リリーが絶叫する。「な、何してるんですかっ!」
「いや、診察じゃが? 何か問題でも?」
「こらっ! フラッツも見るんじゃないっ!! コロトラーナさんも駄目ですよ」
一気に職場がカオス状態になる。
女の子の症状は魔力欠乏症らしい。あとは…誰が面倒を見るかなんだが…。
「見つけたのはフラッツだし、エイサルも休みだろ? 日が昇ったら街の警備兵の詰め所にでも聞いてくれ」とコロトラーナさんは言った。
俺は女の子をおんぶするとフラッツと共に帰宅する。
俺のアパートはロフト付き2LDKだ。一部屋はフラッツに、もう一部屋は倉庫にしてある。俺の寝室はリビングの上のロフトだ。夏暑く冬寒いが秘密基地的で好きだから仕方ない。
女の子はフラッツの部屋のベッドに寝かせて、フラッツにはソファーで寝てもらう。
魔力欠乏症か…俺もそろそろヤバイな。魔法を使い過ぎた。ゆっくりと寝よう…。
目を閉じるとあっという間に寝てしまった。