気の合う仲間たち
「でもエイサルなら、不正して口止め料貰って、ウハウハもできるじゃないですか? なぜ真面目に低い給料で働くのですか?」
フラッツは走る馬の上で舌を噛まないようにゆっくりと質問してきた。
「あっ? 俺に不正して欲しいのか? もっと金を寄越せと言うのか?」
「ち、違いますよ…。ただ…格好いいなって…」
「ふっ。お前を拾って良かったよ」
前世と違って信頼してくれる部下がいる。それだけで今日一日は幸せな気分でいられるだろう。
公正取引委員会が入居している石造りの建屋に入る。
まだ日の出の時間には程遠いが、俺が所属するチームのメンバーは全員待機していた。
「エイサル、無事だったか」
上司のコロトラーナさんはニッコリと笑ってくれた。部下と良い上司と良い最高だな。
「はい、ヴェッェラーゼ男爵の不正について情報を得ました」
チームのメンバー全員に情報を連携する。
「フラッツは下で待っているのか? それなら今日、明日とゆっくり休みなさい」
上司のコロトラーナさんから休暇まで頂いてしまった。
「しかし、他のメンバーも、同じように…」
「何言ってるのよ、もう20日以上、エイサルは働き詰めじゃない」
同期でハーフエルフのリリーがフォローしてくれた。
「じゃ、お言葉に甘えて…」
俺は上で報告している間にフラッツは馬を厩舎に連れて行っていた。流石はできた部下だ。
「フラッツ、ありがとうな。今日は帰って、おもいっきり寝ようぜ」
「あの、エイサル…。厩舎に…女の子が倒れているんだけど…」
俺は宿舎に駆け寄り、フラッツには上のリリーを呼んでくるように命令する。
息はある。外傷は…ないかな。女の子だし、あまり…リリー待ちだな。
「大丈夫っ!?」
リリーは血相を変えて、近づいてくると少女を抱き上げる。
「疲れてるところ、悪いんだけど、マークさんを起こしてきてもらえる?」
マークさんは、近くの診療所の先生だ。
「わかった。フラッツはリリーと上で待っていてくれ」
旅する商人を書こうと思ったのですが、早速イメージと異なる方向へ…。
ネタが切れたので、いつものように、犬の散歩に行ってきます。