豪邸への呼び出し
「他の人にも話を聞きましょう」
松本の同僚で今も残っている人間とコンタクトを取りたいと言う北条の申し出に対し3人の従業員が名前を挙げた。
「鈴木利人と言います」
「垣山徹といいます」
そしてもう1人が宅間だった。
「御3方には個別に話を聞きたいのです。
まず別室に鈴木が呼ばれた。
「どうも」
細長い顔の鈴木が答えた。北条は問いかける。
「いつも松本さんとどんな話をしていましたか?」
「い、いきなり核心をつく質問ですね。そうだな僕の松本さんの印象は「当はおだやかだけど必要以上に自分の事を話さないって感じかな」
「必要以上に自分の事を話さない?」
「そうですね、自分の事をある程度は話すけどある程度以上は話さない他人に対して線引き、一定の境界線があったと言う感じだったな」
「自分の事は話さずどんな話題を?」
「はっきり言って当たり障りのない世間話ばかりでしたね。で趣味にこだわったりとかもあまりなくてもっぱらTVや新聞の話ばかりだった。で、過去の話を聞いたりすると「それはちょっと…って遮るんだ。前はただシャイなのかと思ってたけど、失踪したんですか。じゃあ何かあのころから抱えてたのかなあ」
「怪しいそぶりはありませんでしたか。自分の過去を隠したり素状に触れられるのを恐れたり」
「そういわれてみると怪しかったのかもしれません。でもそれを感じさせないように振る舞える人と言う感じでしたね」
「盗難を考えていたり誰かに恨みを抱えていそうな感じは」
「あるのかなあ。1人でいると時々怖い顔してるときとかありますが」
2人目の垣山に話は移った。
「ああ、松本さんですか?」
暗く面倒くさそうな顔だった。
「松本さんが悪い事を企んでる?」
「はい」
「そんな感じには見えなかったなあ。よく地元の町の話とかしましたけど」
「垣山さんにはそうは見えなかった?」
「そうですね」
いかにも疲れている。
「今松本さんは過去を詐称しています。でもしかしてある事件に関わっている疑いがあるのです。でも彼は交友関係が良くわからないうえ過去もわからないので、皆さんの協力が必要なのです」
「でも内の会社にいた事を隠してると言う事は何かあったんでしょうね」
垣山は非協力的だった。
「須崎さんという方と仲が良かったのですか」
「あっそうそう。よく話してましたよ」
「どんな雰囲気でしたか?」
「あっ、そういえば我々と話す時と違って何かを話し込んでいた感じでした」
「どんな表情でした?」
「とにかく真剣でしたね。あんまり真剣なんで何を話してるか気になるほどでした。」
「その後須崎さんは辞められたんですよね」
「あっはい、それで松本さんもほぼ同時にやめました。辞める話をしてたのかな」
「例えば会社に対する不満とか?」
「うーん、そういう愚痴は良く他の人もいいますけど愚痴とは違いましたね。何かを計画していたような」
「宅間が早退しました」
「後を追いますか?」
「いやいい」
小倉は言った。
「何か怪しかったけどこれと言って手がかりは」
北条は
「事務所に戻りましょう」
すると留守電に録音があった
「私は塚田と言う企業社長です。ぜひ犯罪捜査のご依頼をしたいのですが」
「え?この人取引先の塚田社長じゃないですか?」
と三上は言った。
「なぜ今?」
友里花は電話した。
「ええ、いまかの有名な北条先生にうちに侵入した侵入者が誰なのか推理してもらいたいのです。」
「わかりました。こちらからお伺いしますのでご都合のよろしい日時を」
いきなり予定変更となった。




