Mの意味と松本の前職キャリア
「松本さんの着信履歴で電話帳にないものをチェックします」
「駄目だ全然ない・・」
「ところで結局松本さんは今どこにいるんでしょうか?」
「下りの電車で戻った形跡はありません。と言う事は野球場から家と
反対側の沿線でどこかに行ったか・・」
「でももしその売り子やパチンコ店員が悪人なら今頃松本さんが危ない」
「では松本さんの前職の、さらに前職の会社まで捜査をしましょう」
水商売の店に来た。
「松本さんと言う方がこの店で働いていたかと言う事ですか?」
当時のスタッフを呼んだが全く知らないと言う。
「これはいったい……」
続いて肉体労働の会社に行ったがこれも手がかりはなかった。
「そんな人知りません」
「これは詐称でしょうか?」
「では松本さんはそれまで何をやられていたのでしょうか。無職ではもちろん食べられませんし」
「こういうとあれですが水商売も肉体労働もキャリアとして大きな決め手になりません。しかし隠すと言う事はそれ以上に低い賃金の仕事で隠したかった、堂々と人に言えなかった。では松本さんの真の前職はどこでしょう?」
「もう一度家に戻ると何かあるかもしれません」
アパートに聞くことにした。
「アパートにはいつ越してきたんですか」
「5年以上前かな」
「その頃松本さんがどこで仕事などをしていたかご存知ですか?」
「ああ、製造業って言ってた」
「製造業?」
「製造業ならどこかわかりますか?」
「いやどこかは話さなかったね」
「何時くらいに帰ってきましたか?」
「9時くらいに帰ってきたかな?」
「どんな様子でしたか?」
「確かに結構疲れてた。特に手が疲れてる感じで手がしわくちゃだったような気がするなあ。」
「工場勤務ですか」
「恐らくその様ですね」
「工場と言っても色々ありますが。自動車、食品、鉄・・」
「うーむ。おそらく松本さんの体格では重いものを取り扱うのは無理ではないでしょうか。やはりそんなに重くないもののような気がします」
「しかし軽いものばかりだとしても製造業の中からどうやって目星を?」
「会社カタログを見て片っ端から電話をする必要があります」
「えっ!」
「しかしそれでは体がいくつあってもたりません。それでは賭けをするのです。この2mをヒントにして目星を付けます。もう1つはこのマンションから1、2時間の場所を」
「まつもと、という名前も工場の名前かもしれませんしMEDIAなどの名前も入ります。Mまたはまが2つつく会社を探すのです」
「わかりました」
時間は延々と続き3時間が過ぎた。さすがに皆疲れてきた。数年前にやめた社員の名前を調べるため電話に出た者が即答出来ず時間が必要となる。それだけで4分はかかる。根気のいる作業が続いた。そして
「松本さまですね?」
「あったんですか?」
「はい、確かにこの方は2年前いました」
「詳しいお話をお聞きしたくお伺いして宜しいでしょうか」
それはミラン工業と言う場所だった。
「でもmが1つですね」
「mでマニュファクチュアでは?」
「なるほど」




