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第一章 第一話 初デート

いよいよ、本編に突入!こたつに籠る尚紀のもとに突然の彼女からのお誘い。未体験の女の子の部屋。尚紀は彼女の以外な一面を知り、次第に打ち解ける。

空を覆いつくす暗雲。日に日に寒さが激化しているようだ。

尚紀はせっかくの週末だというのにこたつから出る気配がない。自分でも起きなければいけないことくらいわかっていても体がいうことを聞かないというあれだ。外の気温は氷点下。室内もすっかり冷えきってているのだから仕方ないじゃないか。にも拘らず、親は勉強しろ、しろとしか言わない。せっかくの日曜日くらい、一度試験や入試なんか忘れてゆっくりさせてほしいものだ。

「昨日あんだけ勉強したんだから、いいじゃねぇかよ」

ーーピロリン

部屋で一人、親に文句をつける少年のもとに一通のメールが届いた。

『今日空いてる?丸一日私一人なんだ。良かったら私んち遊びに来ない?』

メールの送り手の名は小倉菜月。彼が不本意ながら付き合っている「彼女」だ。顔面偏差値、性格偏差値八十オーバー、おまけに文武両道ときたもんだ。文句のつけようのないほど完璧な少女なのだが、尚紀にはいまいちお気に召さない。

ーー何、付き合って二日目のくせに、ずっとそばで寄り添ってきたみたいな言い方なんだ...

不満を募らせる尚紀だったが、付き合って二日目でデートの誘いをしてくる気の利きようにも少し感心もした。

「『空いてるよ。せっかくだし、一時ごろお邪魔させてもらうね』と。字間違えてないか...」

おぼつかない女の子とのメアド交換から一夜明け、さっそくメールでお話。暑さのせいか、手が濡れていることに本人すら気づかなかった。

彼女の家の場所は帰り道に何度か通ったこともあり、ある程度認識している。きれいな吹き抜けの家で、一般の人間が住むようなものではなかったが。どうにも、親が建設企業の社長様らしく、裕福な家の子らしい。

九時半になってようやく布団から起きた尚紀だったが、朝飯を平らげるとまた布団に籠ってしまう。どうにも外の世界は過酷らしい。

ーーテレビ見てりゃ、そのうち時間くらい過ぎるだろ。

日曜の朝ということもあり、そこまで退屈はしない。尚紀はこたつの温もりを感じながらゆっくり闇へと沈んでいった。


どれくらい時間が経っただろうか。尚紀は壁にかかった時計をはっきりしない意識のなかでぼんやりと見上げる。短針は「12」と「1」の間あたりで動かないでいた。

ーーやべぇ!寝過ごすところだった!

慌てて昼飯を食らい、身支度を済ませると家を飛び出した。だが、いつものようにお呼ばれのお礼の品は手の中になかった。

冬に入ったこともあり、寒さは増すばかり。道行く人々も小柄なのか、大柄なのかはっきりわからない。

腕時計を見ると時間はすでに一二時をとうに過ぎ、一時まで残すところ二分といったところか。幸い、彼女の家は自分ちから数分の距離にあったので、まだ間に合うはずではあるが。

ーー遅れるわけにはいかない。

厚着による障害はあったものの、必死に自転車をこぎ続ける尚紀だった。


「はあはあ...」

どうにか間に合った。荒い息遣いのまま、目の前の吹き抜けの家のインターホンを押す。十秒もしないうちに、きれいな茶髪の少女が出迎えてくれた。

「時間ギリギリ。そっちが一時って決めたんじゃないの?」

「悪い。ちょっとうたた寝してた」

少女は不機嫌そうな顔だったが、決して怒っているわけではないのは見てわかる。

「寒かったでしょ?とりあえず、入って」

「お、お邪魔します」

ーーなんて優しい子だ...

生まれて以来入ったことのない女の子の家。少し心臓が早く波打っていることを、尚紀は気づかれまいとしていた。

ーーその様子を遠くから見られているとも知らずに...


ーーやばい。めちゃめちゃいい匂いがする...

十五歳童貞の少年、西岡尚紀は初めての女の子の部屋で少々落ち着きを失っている。部屋から香るいい匂い。いつの日だったか、嗅いだ親の香水の香りとよく似ている。

菜月に誘われるがまま入ったこの家にも段々慣れてきたものの、やはり野郎としか遊んでこなかった障害か、やけに意識してしまう自分を殺したい。

どれほどだろうか、一緒にたわいもないクラスメイトや家族の会話をしていると、彼女はいきなり野郎が好きそうな誘いをしてきた。

「一緒にテレビゲームでもしない?」

今のご時世のことだ。ゲームはもはや男だけの遊びではないらしい。だが、この感じは...

「うん、話つまらなかったかな...?」

男のほうがこんなみっともない質問はしたくなかったが、まだ動揺していたこともあり、つい口が裂けてしまった。

「もう、せっかく家まで来たんだからそういうこと言わない。私はちっともつまんなくないよ」

尚紀はこの時彼女が気を使ってくれた優しさに恥ずかしさもあったが、それ以上になつきと話していたころのような幸せを感じていた。彼女は赤面する尚紀に何も言わず、Wiが置いてある部屋へと誘った。

「尚紀くんって、ゲーム得意?」

「んー、自分で言うのもなんだけど、男友達で集まってゲームしたりすると基本負けないかな?」

これは紛れもない事実だ。深夜も夜通しFPSで鍛え上げた腕前は中学生の域を軽く超えている。高々、女の子一人相手ではない。

「えー、お手柔らかにお願いね」

圧倒的な差を感じているらしい彼女に空返事で答えてから尚紀たちはゲームを始めた。こっちは情けのつもりであまり人気のないキャラを選んだのだが、彼女も同じようなレベルのキャラを操作していることに疑問符を浮かべた。

このゲームは最大四人まで参加可能な対戦型のものだ。尚紀にとって最高にやりやすいゲームであったはずなのだが。

「え、菜月強くね...」

瞬く間に二体のコンピューター、そして尚紀の操るキャラまで完膚なきまでに捻りつぶしたのだった。尚紀は試合が終わってもなお、唖然としていた。

「どうだった?私の腕前は」

彼女は自慢げな顔でこちらをみてきた。それは今までで一番生き生きとした顔だった。

「これはうまいなんてもんじゃない。プロでもここまでのレベルはなかなかいないよ。一体どれだけ練習したらここまで強くなれるんだ」

素直な感想だった。実際に彼女の実力は大人のトップレベルに近しいものであった。攻撃に入る素早さや俊敏な回避能力、反応速度が人外の域まで達しているのではとまで思った。

「ありがと。実は私、このゲームでいろんな大会優勝してるんだ」

ーーこの女、まさかスポーツ、勉強に加え、ゲームまで一流だったとは...この女、本当に気を使って「ゲームしよー」なんて言ってきたのか?

今まで負け知らずだった尚紀でさえ、何か圧倒的な力の差を見せつけられた気分になったが、嫌な感じはしなかった。ようやく身近に自分よりうまいプレイヤーに出会えたのだから。


それから数時間挑み続けたが、とうとう勝てないまま、帰ることになった。

「今日はどうもありがとう。今度は俺んちにも来てよ」

「うん、こちらこそ。尚紀くんのPC一回見てみたいし、喜んで行くよ」

彼女はわざわざ玄関までついてきてくれた。いまいち好きじゃないのに付き合ってるなんて変だけど、ちっともいやな子ではないのでこちらとしては案外楽しい。向こうがどう思ってるかは知らないが。

「今度誘うときは大人数でしたいな。やっさんやなつきも誘って」

そう言い残して尚紀は降り出した雪のなかを歩いて帰ったが、寒さはあまり感じていなかった。

どうも、投稿頻度を守らない男、NPC PROです。本編第一話いかがでしたか?とりあえず、本編入ったのでこの作品を書いた理由をお話いたしましょうか。半年前、ぼくはある企画で小説を投稿して最優秀賞的なものをいただいたのが始まりでした。結構大きな企画だったこともあり、学校内で一躍ヒーロー扱いされたぼくは調子に乗って、あらゆる小説投稿企画に応募するようになったのですが、全部落選。世の中そう甘くないものです(泣)それで、小説を書く練習がてらこうして投稿しているわけです。恥ずかしながら負け犬の作品ですが、今後もみて頂けると幸いです。それでは、また次回お会いしましょう。

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