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92話 陸に上がってぼんやりと考えます。

頭痛の頻度がひどいことになっています。これだから梅雨は嫌いなんだ

水中で泳いでいる透明のような魚は、メロウという名前らしい。溶ける……?ああ、姿が見えないから溶ける、なのだろう。


「メロウは『熟す』ですよ、おにーさん」


「ふ、また一つ無知を晒してしまったようだな」


なにいってるんだこいつ、みたいな表情で睨まれた。いや、勘違いって誰でもあるじゃないか。


「それはそうと、この魚って食えるのか?」


「死ぬと生臭さがとんでもなく強くなるから食用には向かないね。ただまあ、この匂いを好む魚もいるわけで……稚魚とかを踊り食いなら大丈夫なんじゃないかな」


「その口ぶりは……シーナ、食ったことがあるのか」


「うん、ニオイが強すぎて振った塩の味すら二の次になるくらい。匂い消しに燻製や香草焼きにするのは悪くないかもだけど、そこまで工夫しても臭かったりしたら悲しいから私はやってない」


「よっと」


水に手を突っ込んでエリナが捕まえた。見えない魚をどうやって捕まえたんだ。


「猫目のスキル。鑑定とかでもおよその位置は把握できるだろ、似たようなもんだよ」


猫目は持っていないので似ているかどうかは分からない。仮に見えてたとしてもそれを捕まえられるかどうかは別問題であるだろうに。


「というかこれ、内臓や食ったモノまで透明になるんだな」


「たぶんそういうスキルだし。ほら、スキルには[目視困難・屈折率補正]ってあるでしょ。迷彩でも透明でもなく。ただ見えにくくなってる、っていうだけなんだよ」


「よくわからないな……」


捕まえた一匹はエリナが丸呑みしていた。死んだら臭くなるなら生きたまま食えばいいじゃない、と言わんばかりだ。


「……川魚を生で食べるのっていいのだろうか」


文化的な意味ではなく寄生虫的な意味で。川魚はそこが一番の不安なのだが。


「んー? 呪いや病原のスキルを持ってないのは確認してるし、そのあたりは大丈夫だろ。何か変なスキルがあれば鑑定できるし」


そういうことではないのだが。と思ったが、寄生虫がいるなら鑑定時にわかるみたいだ。


どのくらいでこの魚がいなくなるのかがわからないが、依頼されていた植物の量がどうにも足りない。


かといってこのまま水に飛び込んでも、魚の勢いに流されるだけでしかないことは容易に想像できる。


だったらまあ、こいつらを追い払えばいいだけ……だけ? それをやっても二次災害が大きいような。主に死骸やニオイとか。それに、近場にいるのを殺すなり追い払うなりしたところで、流れが止まるわけではないし。


「だったら壁を用意すればいいんじゃない? 正面防御とかで」


ああ、そういう使い方もできるのか。




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