91話 納品でちまちまと稼ぎます。
現在のところ、少しばかりではあるが資金に余裕がある。ドラゴンの鱗が4枚残っているので売れば生活に困ることはないだろうが、一度に売れるほど資金を持っている場所もないだろうし、資金そのものならいくらあっても困ることはないからだ。もっとも、インフレやデフレ……経済的なそういったものに弱いから、ある程度は普遍的に換金可能なものにしておいたほうが良いだろう。
財宝類は戦争や疫病、飢餓などが発生したときにはあまり役に立たない。まあ、闇市とかが存在するかもしれないから、絶対に価値がないとは言い切れないか。でもまあそういう時のことを考えるとなると、保存の効く食料とか…いや、粘土ではなく。
塩や水、それから缶詰……はなさそうだな。瓶詰ならどうだろう? 武器防具は手入れが不要なモノなら良いかも。
先への投資ということでいくらか考えつつ、納品物資のリストを見やる。錬鉄のほうはどこかのダンジョンに行って取ってきたほうが早そうなので今回は除外。石炭や木炭の物資要求が結構あった。蒸気機関での需要が増したからだろう、とメモリの予想。そっちの方は何とかなる……か? 蜂の方がダイヤを作ってたということは、同じ炭素である石炭くらいなら問題なく集めてくれるだろう、と考えたからだ。
なんだかんだで河の上にある都市なのだ。自由に採掘できる鉱山などはアテがないらしい。例の盗賊団などの犯罪者はそういうところで働かせないのはそういう理由もあるのだろうか。
結局運頼りかよ。3億近くの収入はそのまま物資整備に使われそうだ。しかししようと考えた手前何もしないのもどうなのか、と思いなおし、河の薬草採取に向かうことに決めた。
「ずぶ濡れになるのは勘弁願いたいのだけれども」
「依頼者だってそうだったんじゃないのか? 私は構わないけど」
「わぉん」
「あーだめですだめです、私水でショートします」
「昨日シャワー浴びてるの知ってるからね? 一緒に入ったでしょう」
うん、替えの服があるからいいやと考えていたが甘かった。濡れ透けである。俺は馬鹿なのか?
サマンサはローブを着たまま入ったため透けていないが、水気で肌に吸い付きボディラインが分かるようになっている。エリナは筋肉が綺麗に浮かび、いっそ美しいとすら言える。シーナは比較的細い線が浮き出ているようで、いかがわしさを感じさせる。メモリは……うん、俺の検索履歴を記憶しているのは真実のようだ。大きい胸とか尻とか、好みに突き刺さってる。
シルバーは人型になってるということもなく、普通に濡れた犬だった。いや、ありがたいけどどうやって水草? を採取するつもりだったんだ。
若干遊びそうになりながらも水草採取をしていると、水上からは見えない何かが泳いでいるのが分かった。屈折率の関係なのか魔法なのか分からないが、気にすることは無い……いやだめだ、数が多すぎる。
相手が敵対的でなくても、攻撃的でなくても、これは流されてしまうかもしれない。