90話 事後処理をしていきます。
盗賊団の方は城門の詰所に届ける。死者がいる場合は死体利用される可能性も考慮して回収すること、とのお達しだったので持ってきていた。調査と称した尋問があるらしい。
死んだほうの盗賊団員には蘇生費用で借金扱いにして、労働刑期を割り増しするとかなんとか。ちなみにこの都市では川と上下水道の清掃が犯罪者宛の労働となっているらしい。監督官として数人の都市役員が様子やノルマをチェックしているのだとか。
まあ、適当に引き渡したのでそっちは解決。盗品の引き取りについて。
食料品に関しては、傷んでいないものでほしいものがあればそのまま持って行って構わないと言われた。余程の珍味などでない限りは、元の持ち主も買いなおしているだろう、とのこと。まあ傷みかけたパンなんて買いなおす酔狂な人はいないか。
盗品は武器防具、いくらかの日用品、取り外されていたスキル達と、それから宝石の類。彫刻や絵画などは、ここの盗賊団は持っていなかった。そのあたりは換金しにくい、というのもあるか。それから、溜め込まれていた資金。資金の方は芸術品などと同じく、2割だけ貰えるらしい。それでも結構な金額だったが。
硬貨や紙幣でも溜め込んでいるのか? と思ったが、身分証のカード、盗賊にまで身分を落としても支払いと引き出しの機能があるらしい。襲った人のカードを奪ったわけではなく、カード同士の金銭授受として資金を手に入れていたそうだ。
……そんな機能初めて知った。サマンサに任せっきりだったからか。カードからの資金の引き出しは、少しばかり強引なものだったとしても、双方の合意宣言があれば成立する。振り込みは、振り込まれる側の委任宣言などがあれば問題ない……よくわからない。難しいことを考える知能は俺にはないんだ。
食料品以外すべて買い取ってもらって、資金の2割も貰った結果、合計で225,004,800クラピとなった。先日の配達物資の仕事で得た金額のおよそ倍以上である。2日で3億、という数値を見れば結構稼いだ気にもなったが、5人+1匹の生活費で考えると12日分あるかどうか、といったところだ。
いや、2日で10日分の報酬って割といいものではないか? 感覚がマヒしている。インフレしすぎてもう訳が分からない。
得た資金も大事ではあるが、食料品。携帯食の方を多数確保していたようで、30日分はあった。
……正直こっちに手を付けるのは、傷みかけて消費しないといけないときか、ダンジョンに行くとき、どうしても食料が手に入らないときに限っておきたい。ありがたいとはいえ、おいしくないものを積極的に食べようとは思わない。
そういえば、錬鉄2トンはいくらだったか。それと報酬は……この3億があればどうにかなるかな?