88話 二人と一匹だけですが、何とかなるでしょうか。
「とりあえず、これは呪いっていうことでいいのかな? 時間経過で治る可能性は」
「無きにしも非ずだけど、それを頼りにするのは間違ってるね。この手の呪いは低レベルの解呪行動でどうにかできるけど、逆に解呪手段がなければ……といい感じ。少しお金がかかるけど、適切な機関、癒者とかそのあたりを頼るのが一番早いと思う」
「そういう場所が襲われてないなら……まあ、襲われている可能性を考えても無駄かな。そっちは運転できる? できないならこっちがやるけれども」
「あー、運ぶにしてもシルバーじゃむりだし、そもそも一人ずつでも運べるかは怪しいか……頼んでいいかな」
「そういった対処をしてくれたのはありがたいけれども、この惨状に対して何か申し開きはあるか?」
「ありません……」
呪いにかかってしまった俺達に対して、早急に行動してくれたことは嬉しい。あとで何かお礼をしなければならない、とも考えている。でもそれとこれとは別である。運転を実行したメモリ、アクセルを思いっきり踏み込み橋の欄干に衝突。車形態の正面が大きくへこみ、欄干の一部を破壊。しばらくそのまま走り、癒者のところにたどり着いたとか。
まあ、人の被害がなかったのは幸いか。ちなみに、その大きな音で癒者が店から出てきたとかなんとか。車を急がせなくても十分な距離だったのでは……?
ちなみに癒者の先生は、俺達から合計3400万クラピを受け取ると、他の呪い被害者がいないかと出張診療に向かった。
頑強のスキルでは呪いが回避できないというのも分かったが……まあ、それはそれとして。
「原因は運送物資の中に?」
「結局わからなかったわ。呪ったらそのまま、外から広域に魔法を使った可能性もあるけれども。でも呪いの作用的に、元凶は外にいる盗賊団じゃないか、って言ってた」
この街には城壁と水以外の防護壁とかはないらしい。まあ前にいた街もなかったが。
「街から逃げたほうがいいか? それとも、何かの危機が迫っているなら対処したほうがいいか」
「意見は出すけど、決めるのはアナタよ」
「私としては、治癒してくれた恩もあるし、仕返ししてやりたいっていうのもあるかな?」
「こっちも同じだ。運転も代わってもらえなかったし、部屋で運動するわけにもいかなかったしな。少し発散したい」
「みんなに嫌がらせした人がいるなら、それは私にとっての敵だし?」
「ぶち込んだほうが面白そうだからそっちで」
「じゃあ、満場一致で」
人を相手にできるかが不安ではあるが、苛立ちもあるので、意外と問題なく行けるかもしれない。
少しばかりの準備をする。