84話 都市内に入るのは、少し時間がかかりそうです。
都市に入るための城門は、結構な数の人々が並んでいた。旅人、行商人、難民、それから俺達よりも先に都市を出ていた馬車。歩行者は結構な数を途中で追い越してきたので、そっちのほうはほとんどいないと思う。あと……あれは魔王の群れか?周りからの扱いは良くて経験値のゴブリンなのだが、どうなるのだろうか。
魔王、群れでいるのをよく見かけるが、どういう関係なんだろうか。家族ごっこなのか本当に親子なのか、それとも何となくそばにいるのか。そのうち調べてみるのが良いかもしれない。聞いて答えるのだろうか、という疑問はあるが。
そういう余計なことを考えているのに、列がほぼ進んでいないくらいには混んでいる。聞こえる話によると、盗賊団の人員が難民のフリをして紛れ込んでいる、という話らしく、身分証のない難民が門に来るたびに3段階チェックをしたのちに控室に待機、その後どうなってるかは分からないが、さらに複数段階のチェックがあるのだろう、と前の方から聞こえた。
第124都市から出発した俺達や他の住民も難民なのだろうか。しかし、都市の行方不明事情はまだ到着した馬車からしか伝わっていないようで、盗賊疑惑の審査程厳しいものではない……と思う。
行商人は通商証を見せただけで通れている。信頼は大事だな……審査に時間がかかっている。さすがに夜中に人を通すのは難しいらしく、今夜はそのまま列待機するか、別の門へ向かってくれと言われた。腐る可能性のあるものを運んでいる行商人は列の前に来るように、と言われている。
城門が見えていたので普通のものが食べれるかと期待していたが、明日までは携帯食料や干し肉になりそうだ。
養蜂箱の確認をする。蜂の外見が5センチくらいのドラゴンになっているような気がする。しかし鑑定結果は蜂。ええい、あくまで蜂と主張するのか。まあ、本物のドラゴン達に遭遇した時のような恐怖感はないし、何かを集めている様子もある。あまり気にしなくていい……と思う。
何を集めているのか、少し確認してみても大丈夫だろうか?巣箱の横についている、蜜などを採取するための穴……小さい宝石のようなものが出てきた。鑑定の結果は工業用ダイヤ。宝石的価値はなく、加工用の道具として使える。
蜂蜜が欲しかった俺としては、あまり嬉しくはないが……うまい使い道ができるまで保管かな。
夜明けまではまだまだ時間がありそうだ。