表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/149

80話 建物の上階で、予想の組み立てをします。

風邪が治らない

しかしバイトはある

何もなくなってしまった商品棚に寄りかかりつつ相談を進める。


「個人的意見としては、『復讐』と、別の場所に呼び出して街の人を眠らせているのは、どちらもあの魔神がやっていると思うのだけれど、どうだろうか?」


とりあえずの意見を出してみる。


「どうでしょう、発言的には救助を契約した人は死んでいるとみていいはずですから、そもそも救助し続けている理由もないはずですが」


「魔神は、そっちのほうが面白そうだから、程度の理由で気まぐれに行動するわ。救助はするけど知らせはしない……ということで、街の混乱を楽しんでいる可能性は十分に高い……はず。行動原理が子供のそれと同じなのよ。それに、生死の如何は契約公開するかどうかの条件であって、その内容を実行するかどうかはまた別枠、とされているの」


できることに大きな違いはあるけどね、と付け足す。魔神は種族専用の魔法として、[対価の絶対回収と支払]というものがあるらしい。契約時の条件を満たすと、ノータイムで自動的に発動するとかなんとか。全属性魔法では模倣できていないそうだ。


ただ、契約魔神が双方同一だとしても、疑問であることが。契約した順番がおかしくないか?


肉スライムになったエルフが契約を実行したとして、他の店員はもう死んでいるはずだ。店長以外の従業員はあの魔神が殺したのだし、店長だって肉スライムが殺している。


だから、肉スライムの契約に対抗する契約をとることはできないと思ったのだが。


「それは、たぶん肉スライムが契約したときには生きていたんじゃないかな? たぶんだけど、店長らしき人以外を殺すように命令したのは、肉スライムの契約ではないと思うから」


スライムになった後に誰かが契約した……なら可能性はあるけれども、従業員を殺させる理由は……考えても分らないか。


対処法が全く分からない。しかし、とるべき手段もない……。


完全に手詰まり状態に陥っている。手っ取り早く危機回避するのならば、この都市から出ればいいのだ。


幸いにして、どうにかする手段は持ち合わせている。


それでいいのか?という気持ちこそあるが、何もできないのだ。


何も手出しすることができない、という結論にたどり着いた、という方が正しいのだと思う。


そもそも、魔神に『何もしなくても問題ない』とは言われていたが、解放時期がいつかは一言も言っていなかったし、『復讐』が実行されるのがいつかも言っていなかった。


他にも逃げている人はいるし、間違った選択ではない、と信じて、街から出ることに決めた。



彼はただ運がいいだけの小市民です。

英雄でも何でもないし、少なくとも現状で解決できるだけの技能もないのです。

自分にできることが何もない場合、どういう選択が最善なのでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ