79話 魔神との取引は、なかなか緊張します。
本当は前話をこの時間に、この話を次の時間帯に投稿する予定でした。
風邪で思考がぼんやりしてる最中に編集なんてやるもんじゃないですね
「情報交換については、契約という形でいいかしら。私たちの誰か1人が質問と対価を同時に提供。それに対してあなたは正しい情報を返す。契約期間は、私達全員が建物を出るまで。問題ないわね?」
最初に口を開いたのはサマンサだった。……契約か。契約魔法ってそんなに簡単に成立するものなんだろうか?
「ふむ、良いだろう。契約だ。何から聞きたい?」
「ここにいるエルフがこのような姿になった原因。それはお前が原因か?」
問いかけながらドラゴンの鱗の欠片、小指の爪くらいしかない欠片を渡す。数は20あるかどうか、くらい。
「肯定。俺との契約の対価でその姿になった」
ふむ……呪いをかけたのか何があったかは分からないが、こいつのせいか。
「契約の内容は?」
もう一つ欠片を渡しながら問いかける。
「無回答。契約者がまだ生存しているため回答はできない」
失敗したか。無回答なのに欠片は消失したから、無駄うちもできない。というか、この状態でも生きている判定になるのか。死んでいないから、蘇生することも難しい……ということだろうか。
「ここにある多くの死体は誰によって殺害された? 複数犯人がいるなら全員教えてくれ」
「店主以外は店主に。店主はお前たちが肉のスライムと呼ぶエルフに」
店地下の様子はこれ以上聞いても意味がない……かな。思いついたら聞こう。
「街で起きている失踪事件に関して、何か知っているか?」
「肯定。知っている」
待てど続きを言わない……あ、知っているかどうかを聞いてしまったからか。魔神が意地悪い笑みを浮かべる。わかってやがるなこいつ。
「失踪事件の犯人、動機、対処法。それから消えた人がどうなっているか、知っている限りを教えろ」
「犯人は死んだ店員だ。動機は街の人を守るため。対処は『復讐』が実行するまでなにもしないこと。消えた人たちは眠っている。生命維持もされている」
4つの欠片が消える。まとめて回答してもらうのは無理だったか。
しかし、復讐? そして、何もしないことが対策?
少し考える時間が必要か。
「サマンサ、こいつは大丈夫か? 少し纏める時間が必要だと思う」
噛み合っていないと予想した事件が良く分からない感じに絡み合っていた。
正しい考察をできるとも思えないが、方針を決めるくらいはしておきたい。
「契約してるから、ある程度は大丈夫。上の階で相談しましょ」
そういう方針になった。