67話 容疑者候補に話を聞きに行きます。
3人には宿ではなく拠点待機してもらうことに。組合の窓口には、俺とシルバーだけで向かう。
「おや、今日はリーダーさんだけですか。どういったご用件でしょうか?やっぱり依頼ですよね?そうですよね!いま、良い感じの奴があるんですよ。鉄のゴーレムになったクマの退治。目撃情報と痕跡しかないので、どういう動作をしているのかは分からないんですが。やっぱりあなたがやったように水に沈めればいいんですかね?それとも溶けちゃうくらいの高温で焼けばいいんでしょうか?んー、機械化した動物ってどういう行動になるんでしょうね?」
「依頼じゃない。聞きたいことがあるんだ。ドラゴンですら鉄のゴーレムと呼ぶような未知の存在を、機械と呼ぶあなたの正体について」
「ああ、それですか。質問に来るのが少し遅いんじゃないですか?でもまあ、及第点でしょうか」
「質問しているんだ、答えてくれないか」
受付嬢は平然と、今までのように会話を続ける。少しは焦ったりとか、あるいは怒ったり……想定していたわけでもなさそうなのに、平気でいられるものなのか。
「まあ私はパソコンですし。調べたいことを調べてあげるのは問題ないですよ。で、なんでしたっけ?私を消す方法ですか?」
「まずは、何の目的で機械にした奴らを作っているのか、だ」
「ああ、私が壊れたとき……あの爆発の時に、アップデートファイルをインストールしていたんです。だからまあ、何かを完成させないという使命感に追いかけられていて。どうにかしたいというのが本音ですね」
「どういう基準で対象を選んでいた?」
「たまたま目についた順ですよ。なにか法則があったかと考えてました?特にそういうのはないです」
「やめてくれと頼んだら、やめてくれるか?」
「代わりに何かを達成できるなら、可能性はあります」
「なぜ蒸気機械を?」
「自分を超えられると悔しいからですよ」
「じゃあ……」
「話はまたあとで。おにーさん、並んでいる人がだいぶいますよ?」
「じゃあ、あとで、だな。俺たちの拠点の位置はわかるな?話し合いをしたいから、来てくれたらありがたい」
「しょうがないですね。大丈夫ですよ。夜中が楽しみです」
なんだかいけない誘いをしてみたいになってしまった。が、本人が大丈夫だと言っていたので信じるか。
何とかなると信じたい。