65話 大まかな指示は受けましたが、細部は未定です。
簡単に纏めると、インターネットにアクセスしろ、ということだ。しかし、どんな技能やスキルが原因かわからないので、その調査からしろ、ということ。
バグ探しまでが俺の仕事なので……そうだ、完全に忘れていたがバグ探しが俺の仕事だ。まあ、見つけたら接続手段と一緒に神様に放り投げてしまっていいそうだ。
しかし、手掛かりが殆どないというか。少しずつ確認しておこう。
微睡みと覚醒の間にいるような空間で、メモを取る。
普段のような時間切れや追い出されたりする様子はないので、じっくり考えられる。
機械化した魔物や生物をリストアップする。
ミノタウルスとケンタウロスの混ざったもの。
ムカデ、大蟷螂、大蜂。
大蜥蜴、それからゴーレム。
そうそう、あとは商人。
ドラゴン達が気にしていたので、実際はもっといるのだろう。
共通するものは見当たらない。外からスキルを与えられていたりすれば分からないが、ダンジョンの中にいるものも影響を受けていた。周期でリセットされたりする彼らが、外から影響を受けたとは……ああそうだ、ダンジョンそのものが影響を受けた可能性。
メモに追記しておく。
リストの奴らに共通するものはなんだろう。
あるいは、共通していないものはなんだろう?
正直、規則性が全く分からない。スキルとか拘らずに情報をねじ込んで機械化しているのなら、打つ手がない。
ダンジョンの中にいるものはダンジョンと考えた場合は……?
ダンジョン、ダンジョン外のムカデ、大蜥蜴、商人。
ドラゴン達が調べる原因になった生物は……なんだろう。
神様は常に見ていたわけではないらしいので把握しきれていない、と言っていた。
……ドラゴン達に聞きにいった方が良いのか?
いや、正気をこれ以上削りたくはないからなぁ……それに、仲間に説明する偽の動機もない。
いや、あの子達なら普通について来てくれるかもだけど、そういうことではない。
あ、ドラゴン達が困っていた理由が、『機械の生物が現れたから』ではなく、『彼らの支配地域にそういったものが現れたから』、というものだとしたら。
ああでも、そう考えても共通点なんてないぞ……?
メモ帳にガリガリとペンでバツだのNOだの落書きしつつ、思考を巡らせる。
ん、もしかして……いやいや、まさか。
他の可能性を考慮してからにしよう。その方がいい。
そう考えて、俺はメモ帳を無駄遣いしていく。
寝ている間の時間だ。たっぷりある。