58話 ラミアの集落で、雑談を交えた会議です。
食事を注文して出てきたものが、ヒドラの肉の唐揚げだった。
ラミアにとってヒドラとは家畜らしい。不死スキルのお陰でヒドラも餓死する事はなく、回復スキルのお陰で無限に肉が取れるとか。
ヒドラにとっては地獄なんじゃないだろうか。
「頭を落とすと料理しても逃げ出すから出せないの。ごめんなさいね?」
暴れる肉を食う趣味はないのだが。
「この前ヒドラが逃げ出してしまってね?どこかで人に迷惑かけていなければいいのだけれども……」
フロアボスのヒドラがそれ、という設定なのだろうか。まあ設定に口は出さない。
「上の方の階層には、喧嘩早い、こういう暮らしに合わなかったラミアがいるから気をつけて。それでも、リーダーのところより上には行かないはずだから」
ラミア達が割と情報をくれるのだが、信用してもいいのだろうか。
「まあいいんじゃない?里があるのは情報に無かったけど、あまり敵対してこない、というのは聞いた通りだし」
「まあそうなんだけどさ。でもやっぱり、少し変な気分になる」
ヒドラのゆで卵……煮卵?を食べながら話を続ける。
……なんか経験値入ってる。いいのか。
「それでなんだけど、上のラミアは敵対的、フロアボスはラミアリーダー……まあリーダーといっても種別名だから複数いたりするわけだけど。回復系のスキルはあるだろうけど、不死ではないわ。まあ一対多数なら大丈夫だとは思うけども」
「そういえば声魔と呼吸魔法ってどんなものなんだ?」
「声魔は音による攻撃ね。衝撃波出したり幻惑作用があったり。呼吸魔法は単純に自己強化かしら。どっちも息をすることが条件だから、喉を潰してしまえば封じれる。ただまあ、回復スキルがあるからそのあたりは適宜対応かしら」
「不死身じゃないなら喉を突けば一撃のような気もするけどな」
「まあそれは十分あり得るけれども。でも、一応切り落とした後でも油断はないようにね?」
上の階層のラミアが敵対的だとは言ったが、それでも遭遇や敵対は少なかった。
戦闘が少ないから、と油断が起きるようなこともなく、たまに蛇の襲撃があったり、トカゲにしか見えない蛇が噛みつこうとして来たり……それでも、ラミアとの戦闘は片手で数えるくらいにしかなかった。
わりとあっさりと次のボスフロアにたどり着いた。少しの打ち合わせをして……周囲の確認をして、少し休憩をとってからボスのラミア、リーダーラミアに挑むことに決めた。