54話 ヒドラを倒すために、一工夫必要です。
来週月曜の投稿は1本になる可能性があります。
最初のボスでヒドラ……不死の魔物が出るという事は、倒し方というものがあるのだろう。と思ったが、ダンジョンでの不死魔物は肉体を封印でも倒した判定になるらしい。
もっとも、時間がかかるのと、部屋に閉じ込められるという、相手も逃げられない状況だからできることだ。
それでも、不死の魔物を殺した……倒した、とか封印討伐ではなく殺した、という逸話は割とあるらしい。
呪いの武器や聖武器でスキルを封じたとか、回復スキルを暴走させただとか。
幸いにしてヒドラなら知能はあまり高くないが、ハイドラは人並みだろうと言われている。
そもそもハイドラの発見数が少ないから……と、話が逸れた。
「なぁ、シーナのスリでスキルを奪えたりできないのか?」
スキルを封印する、という文言で思いついた。不死性がスキルなら、無くせばどうにかなる。そう考えた。
「不死のスキルレベル次第かな。1000を超えてたら多分盗めないと思う。サマンサの方でも、封印陣の準備をしてもらった方がいい」
「私はどうすりゃいい?」
「スキルが奪えるか、スキル封印が出来るまでは陽動と牽制かな。こっちの防御範囲も広いし、出たり下がったりで大丈夫かな。もしかしたらサマンサが直接ヒドラを封印するかもだが」
「あら、封印陣に失敗したら魔塵が溢れるから責任重大ね」
「それは怖い」
いや本当に怖い。主に思い出的な意味で。
「シルバーも炎で牽制してくれ。あんまり前に出たらダメだぞ」
返事代わりの一声をいただいた。大丈夫そうだ。
あとは……そうだ。
「エリナ、牽制の時隙があったら頭を気絶させてやれ。でも殺さない様に、だ」
「難しい注文してくれるなぁ。まぁ、了解だよ」
作戦会議も終わったのでボス部屋に入る。
ヒドラは中央の頭から尻尾の先まで、およそ10mあるかといった感じ。
頭は5つ。その全てと胴体、それから尻尾に不死のスキルがついている。レベルは全て違うが、550前後。
それとは別に、首の方に増殖再生というスキルが付いている。切断されたりすると増えて生えてくる伝承のアレか。
部位ごとにスキルが分かれているとは、あまり考えていなかった。
頭のうちの一つがこちらを向き、毒を飛ばしてくる。正面防御と範囲防御で防げたが、やはり硫黄臭い。胴体ごとこちらを向き、向こうは戦闘態勢に入る。
「シーナ、数は予想外だが全部盗んでやってくれ」
「了解だよ、リーダー」
今までの戦いよりも、少しばかり長引きそうな気がした。
まあ、予感であって予言ではない。あまり気にしなくていい……と信じたい。