51話 幸運で手に入れたものがありますが、その前に。
狼と共に帰宅。まだ日が昇る時間にはなっていないので、ゆっくりと帰宅。
全員起きてました、はい。
途中までは俺を待っていたようだが、飲み会になり宴会になり、女子会という名目の酒盛りをしていたようだ。
コラ狼、おまえさっき散々食ったろ。食事に近づくのは……ああはい、お説教ですか。
「わたしは、帰ってきたから、許す」
そう言って俺に後ろから抱きつく。許容点がだいぶ低いな?もしかして信用されてない?お兄さん悲しくなっちゃうよ。
「そういうことじゃないんだけどね。シーナはあなたが詐欺にあったりしてないかー、みたいな心配してたのよ」
「そういうことか。幸運高いから多分平気だと思うけども」
「幸運高い人を狙う集団がいるらしいから、そのあたりなんじゃない?」
……ちなみに普通は幸運が2億超えたら伸び悩むらしい。
今6億あるよな?後で確認しよう。
「私は2人が怒ったり心配したりしてるから、気分紛らわせてやれ、と思って酒とツマミを買ってきたんだ」
元聖職者的にいいのか?と思ったが、気にしない気にしない、と言われた。大丈夫らしい。
サマンサの方は……
「心配だから怒っていたのよ。何も言わずに出て行っちゃうし」
「ああ、それは申し訳ない」
ワンコに引かれるまま出て行くべきではなかったか。
「とりあえず怒りと謝罪はお互いに伝わったからそれでいいな、3人とも」
シーナが取り仕切る。あんまり気にしていないのだろうか?
「いや、私は見ていたからな」
「見てたなら伝えてくれても良かったんだぜ?」
そんな話はそのまま流れ、出先でやったことについて話すことに。
狼に名前を要求され、賭け事で2億とドラゴンの鱗の一部を手に入れたこと。あとこの狼がとんでもない大食らいだってこと。
おなかたぷんたぷんになってるように見える。いやまあ俺もある程度食べたけどさ。
「鱗のインゴット……どのくらいの大きさかしら」
「サマンサの手首から肘くらいの大きさで、太さもだいたいそのくらい」
「なんで把握してるのよ……まあいいわ、見せてくれるかしら」
断る理由もないので出してみる。深緑色の鱗から切り出したと思われるインゴット。ただ切り出しただけではこの形にならないと思うのだが。
「精霊でもデーモンでも、精錬や付与を手伝ってもらうことがあるけど、その時は必ずこの形になるの」
なるほど。
「少し調べたい気持ちはあるけど、あなたの物だからね。判断に任せるわ」
「ん、じゃあ……」
俺は自分の鱗剣を出して、軽く接触させる。
剣が少し赤く光ったかと思うと、インゴットは大きくなり、峰になった側に張り付いた。
片側がそのまま刃物として、片側が鈍器として使える様な形になった。