50話 賭場につきましたが、あまり経験はありません。
ギャンブル。
日本にいたときはゲームの中の賭場だったり、あるいはオンラインのルーレットやらトランプ、あとはスロット。麻雀はルールが覚えられなかったからできなかったな。まあそのくらいだ。
ここの賭場はルーレットとトランプに似たようなカードゲーム、それからダイスのゲーム。
トランプに似たようなゲームというのも図柄が6種類あり数字は0から11までの、合計72枚というだいぶ分厚いものになっている。
そのカード2パックを使った神経衰弱や、ブラックジャック、ポーカーに似たルール。大きな違いはなさそう……いや、ポーカーはだいぶ違いそうだ。
ルーレットの方でいいか。神様の干渉があるのだろうか、殆ど変わらない。数字が45まで増えているので若干当たりにくくはなっているか。
チップを購入し、ルーレットの空席に座る。椅子の近くに狼も。
……そういえば、俺の幸運ってどのくらい高いのだろうか?直感で赤に置いてみた。
ディーラーはおらず、魔法制御されているようだ。ボールが投げ込まれてからベルが3秒後に鳴るので、そのベルが鳴る前に賭ける。そこから設置と移動はできず、さらにその5秒後にもう一度ベルが鳴るまでの間に、賭金を増やすことができる。減らすことはできないのがミソだ。
500万が400倍になりました。
いや、普通に考えてもこれは増えてるのか?倍率はさすがにインフレは関係ないはずだ。
どこがインフレしていてどれが普通なのかわからなくなってしまうが……とりあえず。大勝できた、と思う。
イカサマを疑われかけたが、幸運が高いんだな、と言われて当面の出禁申し出をされた。
一定以上の幸運がある人に対しては、ある程度の価値がある物資を渡して、来ないでください、とお願いするそうだ。
ちなみに渡された物資は、長いインゴットのような形に加工されたドラゴンの鱗の一部。
えーと、手元にまだあるんですが……と思ったら、これそのものが武器に対する付与素材になっているらしい。鱗として手元にあった時には判別できなかった、もしくはなかった効果か。
とりあえずとして大きめの干し肉を狼に与えてから、拠点に戻って少し試してみよう。
お前どんだけ食うんだよ。粘土はやっぱり嫌だったか。
夜はまだ長い。勝ったきっかけにもなったし、こいつには少しばかりいいものを食べさせてやるとするか。そう考えながら、冒険者組合の食堂に向かった。
2000万クラピ分くらい食われた気がする。まあ現状では些細な金額、と言えるくらいだけども。