47話 お金はありますが、先を見据えたいです。
少しばかり、とは言えない金額の貯蓄ができてしまった。およそ1000日は何もしなくても生きていけるくらいの金額である。とはいえ1000日分しかない、とも言える。
少し何かあったら消し飛びそうじゃないか?何がインフレしてて何が安定してるのか予想がつかないからな。
それに、あと140日程で蒸気機関関連の発表があるはずなので、しばらくしたら経済が不安定になる可能性は高い。物価や生活費10倍になる可能性だって視野に入れておかないといけないのだ。
その時のために資金はいくらでもあったほうがいいだろう。
ということで依頼を受ける。鉄のゴーレムこと機械化したオオトカゲの対応だ。
一対一、あるいは多対多の対応ができるようになっておきたい。
発生場所は東側、川の少し上流あたりらしい。
ん?つまり水の中に落としてやればいいのだろうか。
そんな風に考えていたが、防水性はあるのだろうか?依頼の方には個体数も書いてなかったので現地に赴くほかなかった。
聞いた結果、「鉄のゴーレムは普通防水性能があるだろう?」との回答を貰った。この世界の普通の鉄ゴーレムは錆びないのか。知識として入れておこう。
だが、普通の機械なら錆びるし、蒸気機関はさすがに水中では動かないだろう。
……動かないよな? 水没したら壊れると信じたい。
まあ、それで壊れなかったとしても、各個撃破していけばいいか。
現場の水辺に到達。日本でもよくあるような河川敷、といった感じだ。本来なら人通りが多いはずだが、迂回しているそうだ。
迂回できるなら大丈夫じゃないか、とも思ったがこの都市も結構広いのだ。解決できるならそのほうがいいか。
……向こうは気付いているか。普通の生き物と同じように察知している。機会があれば分解してみたいものだと思ったが、俺は機械工学に詳しくない。神様の方に持ち込むべきか?
まあそれはともかくとして、鑑定だ。
[突進・貫通/Lv67]
[硬い身体/Lv88]
[自己修復/Lv92]
[蒸気機関/Lv66]
[魔力石炭化/Lv72]
近場に水があるせいだろうか。水生成のスキルはない。ならば水に落とすよりも水から引き離したほうが……
そこまで考えて気づいた。
「シーナ、あいつらのスキル、盗めるか?盗んだ後には装備しないで、すぐに水晶に」
「ん……向こうのレベル的には問題ない」
「じゃあ、蒸気機関のスキルを優先して奪ってくれ。俺の予想が正しければ、動かなくなるか元に戻るかするはずだ」
「どういうことだ?」
「彼らを異形にしてるスキルがなくなれば元に戻るかも、ってことでしょ」
「そういうこと。シーナが要だから。みんな支援を」