44話 嘘発見出来るようですが、生きた心地はしませんでした
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『ふむ、真実ではあるようだ』『ならば引き入れるか?』『神託持ちに過度な干渉をするのは』
龍の……めんどくさいからドラゴンでいいや。ドラゴンの話し合いも一枚岩ではないようだけど。岩というか山。ああでも、こうして集まっているのに仲が悪いということはないか?
いやでも、小競り合いが起きたら死ぬ。余波の突風で死ぬし威嚇で精神が死ぬ。
神様と面談してもなんともなかった精神が崩壊すると思う。某創作神話体系の髪に遭った時に正気喪失するのってこんな感じなのか。
「人間よ。そして連れの狼よ」
こっちの世界の言葉で呼びかけられた。
「最近増えた鉄のゴーレム。奇妙な機構持ちのゴーレムについてだ。知っているもの、あるいは手掛かりのになりそうな物資があったら貸せ。報酬はこちらの私財から与える」
ドラゴンの財宝……?
気力が一気に引き戻される。
ダンジョンの一部で湧き出ていること。124都市では2か月後に調査発表をする予定であること。いくつかの種類の機械化した蟲と動物が現れ、通常の種類の動物がおとなしくなっていること。人間が突然変形して鉄のゴーレムになったこと。
それと、いくつかのゼンマイエンジンと蒸気機関の提供。例の15000馬力、もしくは700万馬力くらいあったやつだ。
「そこにおいておけ。使い魔に回収させる」
ふむ、そんなのもいるのね。そのうち習得できたら嬉しい。
そのままドラゴンたちはまた相談事を始めたようだ。
盗み聞いた範囲では、彼らも被害を受け、
ふと、右端の橙色のドラゴンをなんとなく鑑定する。
橙鱗翼竜 レベル 14×10^282
ステータスを見せてやると思ったか?莫迦め
わざわざ日本語でそう表記されていた。
眩暈がした。さっきの威圧感を忘れたのか俺は。
だが、少しわかったこともある。高レベルの存在になると、ステータスを偽装することもできるということ。そういう存在は、ステータスをみられるときに気づくということ。
収穫は大きいが割に合わない、頭痛に近い吐き気を感じる。
サマンサたちも同じだと思う。狼の方は伏せの姿勢のまま動かない。
「ああそうだ、これを持っていけ」
ドラゴンの一匹が思い出したかのように言い、自分の鱗を一枚を千切り投げ渡す。
先日の猪よりも大きなそれが、数メートル離れた地面に突き刺さる。
「うわっ」
砂埃やらいろいろなものが舞い散り、それが数回続く。
色違いのドラゴンの鱗が数枚手に入ってしまった。
着地した際に欠けた鱗の、一定以上の大きさがあるものはすべてスキルクリスタルになっている。拳より小さいものは、鱗の欠片と表記されるだけでスキルはなかったが。それでも十分な価値だろう。
いくつかは、自分たちで使ってしまうか。
俺は正確な判断力を失いかけていたが、戦闘的な意味では安全だったので、この判断は正しかった、と思いたい。