43話 特に大きな問題もなく、山までたどり着きました
投稿失敗に気づかないやつ
かなしみ
途中に機械の動物や魔物が出ることもなく、特に大きな問題もなく山の付近までたどり着いた。途中で1度ヘラジカのような動物に襲われたが、俺が一発防ぎ切った後に、狼が一匹でどうにかしてしまった。
結構強いな。爪に炎を纏わせて角を焼き切るとか、恐ろしいことをしてくれる。
俺の身体も両断できるってことじゃないのか?結構強い程度では済まない……いやでも、狼は倒したことがあるしなぁ。
考え事をしていたが、そもそもこのあたりの狼と都市の方にいた狼とでは能力値が違うのだろう、そう思うことにした。
そして、山登りするはずだったのだが。目の前の光景を見て、なぜ一切の戦闘が行われないのか。なぜそもそも竜、龍の目撃情報が来ていたのか。
その光景に脳が理解することを拒絶した。
山の2合目あたりから上が、複数の竜と龍だったからだ。
ゲームや漫画であるような、狩ったり狩られたり、あるいはどこからともなく現れたり。その程度を想像していたのだが。
富士山よりも大きいと認識したはずの山の大半が、生物で構成されていたのだ。
背中に木々や岩がついている、それとも装着されている?よくわからない。
土の山肌であるかのような橙色の鱗、岩肌のような灰色の翼。それぞれが龍の、竜の身体であり、彼らが歩くだけで、飛行の余波だけで都市が潰れてしまうかもしれない。
そんな彼らが、俺たちに気づいた。
像がアリを目視するような規模じゃないのか?そんな現実逃避をしかけた。
だが、そんなことも許されなかった。
『おい、そこの人間』
日本語で話しかけられた。
「竜の言葉……?ごめんね、龍語は分からないの」
サマンサがそう言ってくれるが、頭に入ってこない。
『そこの人間。言葉は分かるだろう?』
『返事は要らぬ。お前が創造主と話していたのは知っている』
『だが内容は把握していない。正直に答えよ』
『鉄のゴーレムの騒動。お前が原因か?』
『原因ならば右足を。違うなら左足を踏み出せ』
俺はどんな顔をしていたのだろうか。震えて汗が止まらなかった気がする。
声をかけられただけで、いや、目視しただけで恐れが湧いてくる。サマンサが言語のことを切り出せたのは……耐性でもあるのか?
大きく深呼吸して、左足を踏み出す。
とたんに威圧感が薄れた。ないわけではないが、呼吸を妨害されたり、訳の分からない汗をかくようなことはなくなった。
それでも、武器を構えたりとかはできないと思う。
スキルなのか、ただの威圧感だけでこうなっているのか。正直なところ全く理由がわからない。
[恐怖耐性/Lv62]を取得した、というメッセージが出て、少し落ち着いた。が、正気を削られたような感覚は消えないままだった。
2100PVありがとうございます。