38話 依頼の受諾の前に、現状の確認です。
機械化した相手を相手にできるようになろうという話だったのに、機械の相手が複数、もしくはそういう危険がない依頼が主だったものしかない。受付に向かって少し相談をする。
「少しいいか?」
「窓口ってことは食事ではないんですね。大丈夫ですよ」
「あー、鉄になった動物やらの依頼って掲示してある分だけか?」
「そうですね。あれらが暴れまわってると言っていいのかわかりませんが、それのせいでほかの危険動物がおとなしくしている状態ですね。よくわかりませんが、殺されたわけでもなく、ただ単におとなしくなっているだけというか。被害がなくなったので依頼が取り下げられている状態ですね」
つまり、俺たちの冒険者ランクでは受けられるのはあれらくらいだという。
「討伐系で難易度が低いのはないのか?」
「勲章があるので冒険者ランクが□(スクエア)に上がりますね。相対的にあれらの依頼が簡単になります」
「おいまて」
2階級特進とか馬鹿じゃないの?死んでないよ?
「待ちません、これであなたたちは五角の依頼まで受けられるようになりますから、そうなれば機械以外の敵を相手にする依頼もありますよ」
言い方に違和感を感じたが、何なのだろう。ランクを上げさせたいのは分かった。
「というか、俺たちの実力で大丈夫なのか?」
「口外禁止ですが、管理職からの連絡くらいは回ってきますから。勲章が授与されたことは察してます。こっちからもそれなりの報酬を与えないといけないんですよ」
まあ、低ランクの報酬が減るだけで受けられなくなるわけではないから、良いといえばいいのか。
「それで、こちらとしては【山の龍】の依頼を受けてほしいんですが。竜種も龍種も、いることはほぼ確定なんですよ。理由がわからなくて」
「こっちはまだレベル500になってないんだが、殺されるのは確定してないか?」
「まあ、それは否定できません。竜種の子供でも、レベルは32000はないとどうにもなりませんからね」
「やっぱり死ねと言ってるな?」
「いえ、それは倒すとき、殺すときに最低限必須というだけで。ここだけの話なんですが」
あの山では、あらゆる生物が一切の戦闘行為を行わないんですよ。
「どういうことだ?」
「竜種と龍種が集会場にしているからです。偉い人の会議室を汚して遊ぶ人はいないでしょ」
分かるようなわからないような。
「とにかく、身の危険はありません。この情報はスクエア以上に開示の情報ですから、偶然にもランクが上がったあなたたちには教えられた、ということです」
言いくるめられているのは分かる。
だがまあ、危険ではないなら断る理由はないのか?
「山までの道中でも危険生物はいなくないですから、倒して経験値を得ていくといいですよ」
やっぱり不安なんだが。
まあ、なんだかんだで依頼を受けることに。
2,3日は戻れなさそうだ。