37話 準備が済んだので、冒険者活動を再開します
ラーメンくらいいいじゃないか、と思いながら翌朝。
シーナが俺の足に抱きつくようにしながら寝ていた……シーナは上で寝ていたはずなんだけどな?
というかあれだ、また二人に手出しして、とか言われてしまう。俺は悪くねえ。
まあ、夜中の一件のせいで好意を持たれてしまった……と、自惚れておきたいがどうなんだろう?
そっと抜け出し……はずれねぇ。でも足は痛くない。どんな抱きしめ方してるんだ、これ。
ズボンを脱いだりしたら外れるか?いやでも……いい時間だし起こすか。
「すまんふたりとも、シーナを……」
エリナは畳4枚ほどの広さしかない庭で腕立て伏せをしていた。いや屋内でやれよ。
サマンサは俺とシーナの様子を見て、なんだかニヤニヤとしている。
笑ってないで助けてくれ、と言おうとしたら背中から抱きつかれた。
え?
結構力強く抱きしめられてるんですが。うーん?サマンサがどういう感情で抱きついてきてるかはわからない。こっちに来てからの姉のようなものだと認識していたから。
向こうがどう考えてるのかなんて考えていなかった。
この間酔っ払ったときにも抱きつかれて……あれは支えるためなんだが。
コミュ障だった俺には、どういう対応を取るのが正解なのかわからない。
シーナが起きるまではこうしておこう、と答えを先延ばしにした。
軽食を摂って冒険者の宿へ。依頼探しと食事のための場所になると思ったが、食事の方も自宅で摂ってるな。まあいいか。
それで、金銭もいくらかあるのに仕事探しの理由だけども、レベル上げをするためだ。
食事の最中に相談して決めたのだけれども、それぞれが独力で例の鉄ゴーレム、すなわち機械化した生き物を倒せるようになろう、という話をしていたのだ。
特徴としては物理耐久が高い。また、当然金属なので刃物の通りが良くない。スキル外スキルというらしく、石や鉄、それからスライムなどには刃物は殆ど聞かないとか。
なので、俺はメイン武器を新調する必要があると考えた。シーナはナイフ以外を使うつもりはなかったようで、ならば、とスキルを購入することに。その装備を十分に揃えるためには、生活費を削ればなんとかなるかも、という感じだったので、稼いで余裕を作っておきたい、という判断をした。
依頼掲示板を見る。
・鉄のムカデが数百以上出た。家畜が殺され、人的被害も出ている。早急な対応求む。
・鉄のオオトカゲの群れが湧いた。街道近くなので交通に問題が発生している。救援求む。
・都市から西に向かった山の付近で龍が出たという話がある。真偽を確かめ、可能な限り多くの情報を持ってきてほしい
・ねこのさんぽ
すこしばかり事態は深刻になってしまっているようだ。
レベル上げもしなければ。